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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 39

武漢空爆時の高高度爆撃とは違い、高度3000mからの精密爆撃であったことがB29隊の損害を極大化した原因でもあった。
三菱も「火星」や、「木星」(海軍名ハ42、陸軍名ハ104)の高高度性能の不足は感じており、ドイツからの技術支援や工作機械の輸入などで排気タービンの開発を進めていた。開発中の2500馬力エンジンである「ハ214」などについても、必死の開発が続けられていた。
中島飛行機でも「誉」エンジンの高高度性能向上には関心深く、三菱と同じく研究を重ねていた。
中国戦線でアメリカ軍が大戦果を挙げていた頃、インド洋では通商破壊戦が絶頂期を迎えていた。
11月19日、「山城」「扶桑」が砲撃で大型商船3隻、コルベット1隻を撃沈。
11月22日、潜水艦伊10、伊26が輸送船2隻、貨物船1隻を撃沈。
11月29日、伊169、伊171、伊174がアメリカ軍の輸送船1隻、油槽船2隻、武装商船1隻を撃沈。
11月30日、前日に取り逃がした艦隊を追撃した「飛鷹」から零戦3機、九九艦爆10機、九七艦攻13機が発進。アメリカ軍の護衛空母1隻を撃沈した。
12月2日、イギリス軍油槽船3隻は補給の帰路に暴風17機に襲われ3隻とも轟沈した。
12月9日、アメリカ軍の護衛空母に護られた輸送船団を日本軍潜水艦の伊27、伊169、伊171が攻撃。護衛空母1隻を中破、輸送船2隻、貨物船1隻を轟撃沈した。
しかし、アメリカ軍は船の数が多く、残った貨物船2隻と油槽船1隻の物資は輸送が完了した。
そうして苦心惨憺して運ばれた物資はインドでB29の空輸仕様機(C−54(DC−4)輸送機などではヒマラヤを飛び超えることができなかった)で輸送されたが、爆撃部隊の爆弾と機体補修部品、それに燃料の輸送を最優先せざるを得ず、爆撃部隊の搭乗員・整備員たちは中国庶民の食事で我慢せざるを得なかったというが、中国庶民の料理を楽しんでいる将兵もそれなりにいた。
それにしても米英の執念は恐るべきもので、こんな雨漏りの水をバケツにためるような輸送で、必死に補給を行っていた。
同時に、日本軍も苦境に立たされつつあった。セイロン島への補給が脅かされだしたのだ。
インドに向かう船団への攻撃に対抗して、セイロン島への輸送船が連合国軍に狙われだした。
両軍の海上輸送ルートが半ば交錯するインド洋は混戦の巷に陥りつつあった。
そのしばらく前、ソ連降伏後まもなく、インドの鍵を握る人物が日本を訪れた。
運行再開したばかりのシベリア鉄道でドイツからやってきた、スバス・チャンドラ・ボースである。

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