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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 38

事態を重く見た支那派遣軍では地上の対空監視要員の大増員を行い、大本営は二式単戦鍾馗や三式戦飛燕までも送り込むことにした。暴風の火星エンジンやハ104では高高度性能が不足気味で、折角の20mm機関砲4門、さらに襲撃機仕様の機体が持つ40mm機関砲は威力を発揮したが、エンジンの高高度性能不足はパイロットたちに十分な照準の機会と、敵弾幕の回避機動を行う余裕を奪っていた。
特に三式戦闘機飛燕は、川崎ハ40がドイツ製工作機械や欧州から輸入したニッケルなどの金属材料の充足により大幅に信頼性が向上していた。当時の日本で生産されていたエンジンで最も高高度性能が高く、完全に整備された飛燕であれば、高度10000mでも編隊飛行が可能だったといわれるハ40を装備する飛燕の部隊は、B29に対する切り札として期待されていた。
本土では、品質向上に物を言わせて、ハ40を強化したハ140の量産準備も進められていた。
そして、キ85藍山も訓練を完了した部隊から武漢に順次配備が始まったが、まだ機数が揃わないこともあって、その仕事は報復爆撃ではなく、まずは空中哨戒機としての運用が最初で、ドイツから輸入した電探を装備した空中哨戒指揮機も送り込まれていた。

1943年12月1日、アメリカ軍は武漢基地の徹底的破壊のためB29を134機、B25を98機発進させた。
鍾馗や飛燕はこれに対して激しい空中戦を展開した。
ドガガガガガガ
ドガァーン!
飛燕は面白いようにB29を撃墜していった。しかし、地上施設の被害も大きかった。対空砲陣地がほとんど破壊されてしまったのだ。
12月6日、成都から発進したB29を150機が北九州を攻撃した。
ウゥー!
サイレンがけたたましく鳴った。
「空襲警報発令!」
この時暴風は20機が迎撃に上がり、B29を52機を撃墜するという大戦果を挙げた。暴風はたった4機を失ったのみであった。また空襲による死者は65人出したが、工場は稼動し続けることが可能であった。
あちこちに見られるB29の残骸を見て
「あの新型戦闘機は流石だな・・・・・・」
と、復旧作業にあたる人々は呟いた。

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