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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 33

ところでこの爆破事件の少し前、航空本部は零戦の生産を手伝っていた中島飛行機に零戦の生産ラインを「暴風」の生産に取り急ぎ切り替えるよう要求した。

三菱では「暴風」のさらに次世代の甲戦、「試製烈風」の開発が進められ、「雷電」は開発中止となっていた。
また、川西に対して緊急要求として二式大艇の陸上機化を発注した。対抗してB29の発進基地をたたくためだ。
爆破事件の影響で空母機動部隊も「暴風」の調達を進めていたのだが遅延が生じていた。何しろ艦戦と艦爆の両方を置き換えるのだから所要機数も多く、更新は手間取っていた。
 
ところで米軍は、ヒマラヤ越えの空輸ルートで燃料などを運び込みつつ中国大陸の基地を運営していた。
輸送に非常な手間をかけつつも、この爆撃作戦は継続されていた。
何しろ、燃料を運ぶ輸送機自身も多くのガソリンを必要とするし、航空爆弾を輸送するにも、輸送機が必要となった。かなり無理をして爆撃準備を整えただけに、兵站面で無茶苦茶な負担がかかっていたのだ。
輸送船でまずインドに運び、そこから空輸するのだが、インドまでのシーレーンが長い上に、能率の悪い長距離空輸である。


そこで大本営はこの爆撃を阻止すべく、いくつかの作戦を計画していた。
その第一弾が、潜水艦隊によるインド洋通商破壊作戦である。
その戦力は以下の通りである。
特設潜水母艦さんとす丸、潜水艦伊10、伊26、伊27、伊169、伊171、伊174、伊175の8隻である。
この潜水艦部隊は9月10日、シンガポールに集結し、アンマンダン諸島に向かって出港した。
9月12日今度は昆明からB29が66機飛び立ちハノイを空襲。401人の死者を出してしまった。完全な奇襲であった。日本軍も迎撃はしたものの、その戦果はB29を3機を撃墜したのみであった。
一方、改装工事の完了した「飛龍」「瑞鶴」を加えた機動部隊は、十三試艦戦の補充が遅れているため、零戦、九九艦爆、九七艦攻がいまだ主力であった。
山口多聞少将は、暫くこの状況が続くと見込み、十三試艦戦を松山基地に向かわせた。

肝心の潜水艦による通商破壊戦は9月20日、まず伊10がイギリス軍の貨物船を発見、浮上砲撃で撃沈したことから始まった。

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