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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 31

そして1トン爆弾を抱えての急降下爆撃が可能でなおかつ米軍戦闘機のようなダイブズーム機動などで高速性能と頑丈さを武器に対戦闘機戦闘においても暴れまわる戦闘爆撃機として開発が進み、すでに正式採用間違いなしというところまで来ていた。

山岡たちのそばに、白髪交じりの初老の長身の男性が現れた。
「やあ、ひさしぶりですね。」
「ああ、これはこれは。高橋社長。」
彼の名は高橋徹。大阪航空工業の創設者で、航空機設計者でもある。九八式練習機も十三試艦戦も、彼の率いる設計チームが開発したのだ。
「全員無事生き抜けたようですね。お疲れ様です。運用状況については、すでに頂いた報告書を読ませていただきましたが、大過なく使えそうですね。よかったです。では皆さん、こちらへ・・・。」
彼らが案内されたのは、工場内の会議室。技術者たちが集まっていた。現場で飛ばした山岡たちから、より詳細な説明を聞くためだ。」
 
 
「・・・・なるほど。よくわかりました。もうすでに改良してある個所もありますが、これでもっと強くできます。」
技術者たちとのやり取りを終えたあと、操縦士たちと技術者たちは連れ立って貝塚飛行場に現れた。
試作機であることを示すオレンジ色に塗られた何機もの十三試艦戦が整備を受けたり、離着陸したり。
火星エンジンの轟音を響かせていた。

「機体サイズの件ですが、それに関しては主脚取付部のすぐ外側から折りたためるように改めました。これで格納庫内では零戦より少ない面積でより多くの機数を積めます。」
事実、眼前では1機の十三試艦戦が主翼を主脚のすぐ外側で折りたたんだ状態で置かれていた。

ちなみに零戦は主翼端を折りたためるが、主脚すぐ外側とはいかず、あまり折り畳みの効果は無かった。そのためかその部分を切り落とした仕様の機体も存在する。

ブォォォン・・・
高橋社長や山岡少佐たちの前に、1台の乗用車が走ってきた。
中からは海軍将校が1人降りてきた。
「森里大佐、お久しぶりです!」
山岡たちが敬礼する。
「おお、お前達か。全員無事に生還できたんだな。よかったよかった。ところで、良い知らせがある。」
笑みを浮かべて森里大佐は明るい口調で言った。
「航空本部では、十三試艦戦の正式採用を決定した。名前は甲戦であるので「暴風」と決定した。今後零戦、九九艦爆から順次転換していくことになるだろう。高橋社長、量産よろしく頼みますぞ。」
「もちろんですとも。我社では独自の品質管理法を採用しております。これに関しては中島・三菱にも後れを取るものではないと自負しておりますぞ。」

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