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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 23

「本当ですか!」
「君を騙しても意味はないよ。250kg爆弾4発搭載時で時速522キロに達する。爆装無しなら時速585km出せる。最大航続距離は2820km。機銃は20mm4丁。格闘性能以外では、特に一撃離脱や重爆退治には間違いなく零戦より強い。」
彼らの前にあったのは、艦攻より巨大な体躯の「戦闘機」だった。先ほど9機が揃って、本土の基地からやってきて着艦したのだ。
「まだこれは試作段階だから、戦闘参加してなおかつ、無事にもって帰らないといけない。そういうわけでよろしく頼む。」
「はっ。承知いたしました。」
 
試作機が来るとは聞いてたが、こりゃとんでもない化け物だぞ。九九艦爆の4倍の搭載量だぞ?出撃直前に乗り込んできた整備員たちはこいつの担当らしいが・・・。まあ火星ならエンジンの不安は少ないだろうな。
 
整備士官はそう思いながら『十三試艦戦』を見ていた。
機体下部を見ると、爆弾架がいろいろある。1トン爆弾用、800キロ爆弾が各1組、500キロ爆弾用が2つ、60キロ又は250キロ爆弾用のが両主翼下にそれぞれ2基ずつ。60キロ用については胴体下にも2つ付いているから、6発積めるのだろう。

 
ちなみに、風防は零戦とほぼ同サイズ。単座機なのだ。
「コイツを乗りこなす奴はかなりすごいんだろうな。」
そう思わざるを得ない。パイロットは、一人で急降下爆撃と空戦の両方をこなせと言われているに近いのだ。

ちなみに「翔鶴」の改装にはより大きな昇降機への交換も含まれていた。これを見て、どんな機体が送り込まれてくるのかと興味を抱いた乗組員は多かったが、皆ようやく得心がいった。

さて時間は戻って日本軍機動部隊。
「翔鶴」から十三試艦戦が6機発艦。さらに各空母から零戦が合計60機飛び立った。十三試艦戦1機を零戦10機で護衛する。合計66機の攻撃隊が結成された。
「敵機!」
アメリカ軍戦闘機12機が襲い掛かってきたが
ドガガガガガガガ
十三試艦戦の20mm機銃が火を噴きこれをあっという間に撃墜した。
油断したF4F1機がまず十三試艦戦を艦爆かなにかと思ったのか眼前に飛び出してきたのだった。
これを見て驚いた残りの11機と、零戦隊が激しい戦いを始めた。
十三試艦戦はすぐには参加しない。
十三試艦戦は零戦のあまり通じない無線機とは異なり、大型だが性能のよい新式の無線機を搭載している。
十三試艦戦隊長の山岡少佐の声が無線で流れる。
「わかっているな!縦の機動で戦うんだ!アメ公の戦闘機が頑丈さに物言わせてやらかす機動を今度は俺達がやる。奴らの上を取るぞ!続け!!」

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