PiPi's World 投稿小説

太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

の最初へ
 163
 165
の最後へ

太平洋の荒波 165

入念に訓練された戦車兵達はよく使いこなし、じわりじわりと、だが巧みに進撃しては、停止、発砲を繰り返し、新型重戦車を狙い撃つ。
生き残っているトーチカや、砲兵陣地も米軍戦車を砲撃する。
中でもパンターの砲塔を転用した「西方の壁」砲塔は、多くの舟艇や戦車を葬ってきた。目の敵にされて艦砲射撃などで破壊されたものも多いが、まだ生き残りがいて、主にシャーマンを撃っている。
たちまち戦車同士の激戦になり、激しい砲火の応酬になった。
シャーマンもパンターも、次々に残骸に変わっていく。犠牲になったパンターの半分ほどは、米軍の新型重戦車による戦果だ。
M26パーシング。ようやく量産化された重戦車で、ティーガーとも対抗できると言われている。
ティーガーと同じで鈍足のため、上陸時に難渋している間に要塞砲などに撃破された車両も多かったが、それでも40両近くが先頭に立っていた。
M26を脅威と見たドイツ戦車部隊は、集中射撃を加えだす。
ケーニヒスティーガーの88ミリ砲が、近づきすぎたM26を撃ち、炎上させる。
増援に来た装甲師団の砲兵も、支援射撃に参加している。米軍の後続部隊を入れまいと、戦車戦が行われている背後へめがけて榴弾砲や加濃砲を撃ち込んでいた。
アメリカ艦隊の戦艦や巡洋艦の支援射撃も激しく、戦艦は後方の砲兵への反撃に移っていた。
叩き合う戦車部隊を助けようと、巡洋艦が5インチ弾でドイツ戦車を撃つ。
何もかもを吹き飛ばし合う、殺戮の砲火が交錯し、塵芥のように命がすりつぶされる。
戦車の車載機銃やトーチカが放つ機関銃弾が交錯し、互いの歩兵を撃ち倒す。
砲声や爆音、負傷兵の悲鳴やうめき声が入り混じり、おどろおどろしく禍々しい戦場音楽を奏でる。
砲兵や艦砲射撃が入り乱れて相手を削り合い、戦車同士が激しく撃ち合っていたが、歩兵の支援が得られるドイツ側が次第に押していく。
さらにV1の一団がまた飛来し、クリーブランド級軽巡1隻を撃破して支援射撃を弱らせたのをはじめ、さらに舟艇や上陸部隊に打撃を与えた。

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す