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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 151

放り出された乗員や上陸兵を救おうにも、砲台からの射撃が続き、もはや混乱状態となっていた。
この海岸には自由フランス軍の陸軍部隊も上陸に参加していたが、全滅しつつあった。
それでも船団は後から後から押し寄せてくるのだ。
さらに砲撃部隊の重巡「デ・モイン」「ボルチモア」がエレクトロ・ボートによって叩き沈められた。

さて、アメリカ軍の協同で作戦に参加したポーランド義勇軍はアメリカの支援でイジニー付近に降下した。しかし、そこにはこれを事前に察知していたSSの重機関銃部隊が待機していた。
ドガガガガガガガガガ
ズドドドドドドドドド
「ぐわっ!」
「ぎゃぁっ!」
「がはっ!」
「ぐえっ!」
大虐殺の如くポーランド義勇軍は打ち倒され、空挺作戦は失敗に終わった。
この時、ジュノー海岸の防壁背後では。
「『ライノセラス』を出せ!!」
後方から到着した増援部隊の第一陣が配置に着いた。
あちこちにおびただしい数のトラックが並び、その荷台にはランチャーレールが多数並んでいた。
「目標、海岸部全域!フォイア!」
トラック群の荷台から凄まじい量の煙が出て、恐るべき数のロケットが飛んでゆく。
そして海岸一帯が爆発炎に包まれた。
海岸に積まれた物資が、防壁に迫る米兵が、揚陸された戦車が、将兵を繰り出そうとする揚陸艦が、何もかもが、ロケット弾の集中豪雨に曝された。
戦車が砕け、糧食が焼け、弾薬が爆発し、人間が細切れの肉片となった。
「ライノセラス」それは、ソ連から接収したカチューシャロケットであった。
降伏後にドイツ向けに製造再開され、フランス北部に大量配備されていたのだ。
「続けて撃ち続けろ!!」
発射トラックたちは交互に凄まじい数のロケット弾の豪雨を放ち続ける。
ジュノー海岸を奪いつつあった上陸兵たちの大方がこの豪雨の前に吹き飛び、一挙に戦況はドイツ軍優位となった。

この時、上陸海岸のうち一番東方にある「ソード」海岸へ向けて進撃する一群の艦艇があった。
「海岸突入か・・・・。サウスダコタあたりとやりあう事になるようだな。」
戦艦部隊司令長官のエーリヒ・バイ中将は呟いた。
彼の率いる艦隊は上陸作戦中の海岸に乱入し、目に付いた敵兵や輸送艦や揚陸艦、砲撃部隊などを相手かまわず撃砕せよと命じられ、キールを出撃していた。

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