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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 150

Me262のパイロットたちはあくまで速度を落とさず、大回りしての一撃離脱を繰り返すのだ。
さらに、Ta152やDo335、Fw190、Me109などのレシプロ戦闘機部隊はP51やP47と激烈な潰しあいを演じていた。
海岸に、沖合いに、双方の被撃墜機が激突する。

船団や砲撃部隊を各陣地や砲台は必死に攻撃する。どちらにとってもこの戦いに勝ったほうが事実上戦争の勝利者になるだけに、どちらも一歩も譲らない。

オマハ海岸では水上部隊の被害が続発していた。ボルチモア級重巡洋艦で完成したばかりの「ブレマートン」がヴァルター・ボートに叩き沈められたのを皮切りに、Ta152の護衛を受けたHe277爆撃機が「フリッツX」でフランス戦艦「リシュリュー」を攻撃したのだ。
必死に回避を試みる「リシュリュー」だが、10機のHe277から20発が投下されたフリッツXのうち5発が命中した。
まず1発が2番主砲塔を直撃して叩き割る。これは弾薬庫への引火は避けられたが、2発目は艦尾を直撃し、「リシュリュー」の操舵機構を破壊して浸水を生じさせた。
3発目は煙突に直撃して煙路で炸裂、罐室に強烈な衝撃と圧力を与えた。
多数の罐が過剰な圧力を受けて爆発を起こし、推進力の殆どが失われ、高温の水蒸気が多数の乗員を焼き殺した。
ふらふらになったところに左舷水線部に1発が直撃して浸水が始まり、後部の副砲群の只中に1発が命中してこちらは副砲弾薬を誘爆させてしまい、これで自由フランス海軍の戦艦「リシュリュー」の運命は定まった。
機関の被害で排水ポンプも働かなくなり、30分後には左舷に盛大に横転して沈没したのだ。

船団にも被害が続発する。
「リシュリュー」の惨状に驚く間もなく、上陸船団めがけて低空から各種のJu88が攻撃を加えたのだ。
当然、連合軍の船団指揮官や地上部隊の指揮官達は戦闘機隊に救援要請をするが、やってきた戦闘機隊の前に姿を見せたのは、なんとHe280ジェット戦闘機だった。
こちらはMe262よりは火力も速度も劣ったが、それでもレシプロ機相手なら十分に高速であったし、20mm機関砲3門という武装は戦闘機相手なら十分だった。
「おい!なんだあの機動は!」
「旋回しても食い下がられるぞ!」
He280には自動空戦フラップが装備されて運動性能が改良されていたのだ。
He280と連合軍機が激しく戦うその下では、機首に多数の機関砲を装備した制圧機が駆逐艦などを襲い、爆装した機体は各種揚陸艦艇を次々に撃破する。
陸兵にも機銃や爆弾が降り注ぎ、彼らを次々に肉片へと変えて行った。
彼らを助けようと迎え撃つ巡洋艦や駆逐艦たちだったが、こちらも水柱とともに激震が走る。
エレクトロ・ボートやヴァルター・ボートが忍び込み、艦艇を次々に襲っているのだ。

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