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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 148

中でもアイオワ級戦艦「アイオワ」「ニュージャージー」「ミズーリ」「イリノイ」の長砲身16インチ砲の威力は危険であり、ドイツ軍の装甲砲台もいくつかは沈黙を余儀なくされていた。
その「ミズーリ」の周囲に水柱が立ち上る。
幾度か水柱が周囲に立ち上った後、前部甲板で炸裂炎が閃き、バトンのようなものが放り上げられて被弾箇所から黒煙が湧き上がる。
建造中止になった戦艦の主砲を流用した重砲台の反撃を受けたのだ。
「ミズーリ」も砲撃を継続するが、発砲炎はやや小さくなっている。1番砲塔が潰されたのだ。

「・・・混乱させるんだ。命中率?それが低いことくらいわかっている!ポーツマスでやったように、上陸船団そのものを的にして撃ち込むんだ!」
V2ミサイルは発射車両から発射され、発射部隊は機動性が高かったことと内陸の制空権を味方が握っていることもあってこの戦争では発射部隊が撃破されることは無かったのだが、問題はV2の命中率が低いことであった。

シュウ・・・・・・・
ボズガーン!
流石に味方の陣地や防御施設を破壊しては大変なので、沖合いめがけて発射されたのだが、中には砂浜に着弾するものもあった。
砂浜にクレーターが生じ、その場にいた連合軍兵士がどこへともなく消し飛んだ。

中型輸送船「カート・シェルダン」の至近に着弾した1発は、直撃でないにもかかわらず運動エネルギーと炸裂の衝撃で「シェルダン」を横転させ、多数の兵士を溺死させた。

音速の4倍で飛来するV2号は上陸部隊を再び恐怖に陥れた。
上陸作戦準備のために集結したサザンプトンやポーツマスでも、多数停泊する揚陸艦艇たちの只中に叩き込まれて思わぬ打撃を与えていたのだ。
さらにV2ミサイルの飛来は続く。
オマハ海岸で砲撃に当たっていた旧式戦艦部隊の「ニューヨーク」「テキサス」「ミシシッピ」「アイダホ」「テネシー」にも飛来した。
「テキサス」の左舷100mほどの位置に立て続けに3発が着弾し、巨大な水柱を吹き上げる。
さらに「ニューヨーク」には28cm砲弾が2発命中し、5基の連装主砲塔のうち3番砲塔を動作不能に陥れた。
同時に、近くの船団にもV2ミサイルが飛来して、大型揚陸艦「ディック・P・ベネット」を直撃、轟沈させて1個大隊もの将兵が戦わずして抹殺された。
周囲の艦艇の将兵が青ざめるが、それでも必死に上陸しようと船団が前進し、戦艦など水上部隊は砲撃を継続する。
今度は「テキサス」の艦首前方に1本のV2が着弾して巨大な水柱を吹き上げる。
また別の1本は戦車揚陸艦を至近弾で転覆させた。
28cm、15cmなどの各種重砲と交戦する砲撃部隊にも被害が相次ぐ。
上陸兵を支援すべく危険な距離にまで接近した駆逐艦3隻が相次いで爆発炎上した。
そして、今度は「テネシー」の左舷側に3本の水柱が立ち上り、艦が激震する。

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