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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 141

この間にも「仁淀」に配置された統裁官たちは流星隊の機動の報告を元に、大急ぎでサイコロを振って判定を出してゆく。
出た判定は、「7番、8番主砲塔(高角砲塔)基部爆弾命中1発、両砲塔破壊! 艦橋上部に爆弾直撃1発、艦長戦死! 艦体左舷中央部に爆弾2発命中、浸水大!  噴進弾5発命中、艦首錨鎖庫、1番主砲塔、6、8番機銃、前部高射装置、11、12番機銃が破壊と判定!!機銃により敵機1機撃墜と判定!」
であった。
浸水大との判定に、「仁淀」も落伍して攻撃機たちは戦艦「淡路」へと襲い掛かった!
「淡路」を狙う暴風隊32機は2隊に分かれる。1隊は海面ぎりぎりの超低空を飛んでいる。反跳爆撃隊だ。
そして胴体後部のブースターロケットを噴かして急上昇する1隊。急降下爆撃隊だ。
流星隊24機も海面ぎりぎりの超低空に舞い降りる。
こちらは8機ずつ3群に分かれて雷撃機動を行い、「淡路」の左舷側に魚雷を見舞おうと3方向から襲い掛かる。
A−B−Cアタックとも呼ばれる、敵艦の片舷の数方向から同時襲撃して追い詰める戦法だ。
「本艦は爆撃では沈みはせん・・・・・・」
防空指揮所で嶋取艦長は呟くと、左舷側を見た。
暴風16機、それに続いて流星24機が一気に仕留めようと突っ込んでくるのが見える。
眼下では「淡路」の火器のうち左舷側を指向可能なものすべてが敵機を狙っている。
どうやら砲術長は低空からの攻撃への対処を優先したようだ。
高角砲や機銃だけでなく、主砲までが砲身を水平に倒し、相手を狙っている。
「主砲発射しました!弾種は四式!目標は先頭集団!」
砲術長からの報告があり、統裁官はサイコロを振って四式榴弾の命中率判定を出す。
「暴風5機撃墜と判定!」
「まずまず・・・だな。」
報告を受けた嶋取艦長は言った。言いつつも急降下爆撃隊、反跳爆撃隊、雷撃隊のどれへの注意も怠らない。
「敵機、高角砲の射程に入りました!」
先頭の暴風隊が射程に飛び込んできた。各砲の要員達は高射装置で必死に照準をつけている。
「取舵ぃ!」
嶋取艦長は叫んだ。だがまだ艦は旋回を始めない。慣性で直進を続ける。
「先頭の敵機、距離40(4000m)!
40mm機銃も照準を始める。
ボフォース式の40mm機銃は3000m程先まで弾道が低伸する。
機銃員たちが射撃動作を始めた。
「上空の敵機、高度30!」
急降下爆撃隊を見ていた見張り員の叫び声が届く。
同時に反跳爆撃隊が近づいてきた。
「暴風1機、機銃により撃墜と判定!」
統裁官が叫ぶ。
「取舵一杯!」
嶋取艦長は叫んだ。
先ほどの取舵で左舷方向への慣性が生じていたため、「大和」を凌ぐ巨艦であるにもかかわらずぐいぐいと艦首が左舷へ回る。「淡路」から見ると飛び込んでくる機が左舷後方から左舷前方へと動いてゆく。

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