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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 137

「さて、誰がどんな攻撃をしてくる・・・??」
艦長の嶋取巌(しまとり いわお)少将は楽しげに言った。
今回の訓練に際し、艦隊には空襲訓練参加部隊の内容は知らされていない。
彼は戦艦「尾張」の艦長である森下信衛少将に対抗心を強く抱いていた。
森下艦長は操艦術の達人として有名なのだ。
淡路の周囲には尾張、大和、武蔵を中心とする水上打撃部隊の艦艇が対空輪形陣を組んで航行している。
四戦艦が所属する第一戦隊を中心とする部隊を率いるのは、尾張に中将旗を掲げる松田千秋中将である。
彼の指導の下、日本海軍艦艇の対空回避操艦術はこの時期、めきめきと向上していた。
彼がまとめた操艦術の教本が戦艦などのみならず空母や駆逐艦などあらゆる艦艇に配られ、個艦単位で襲撃を回避するだけでなく艦隊ぐるみで連携した対空戦闘を行えるよう、訓練は繰り返されている。
ちなみに山本五十六長官は、東太平洋での多面戦闘を広く見渡して采配するべく連合艦隊司令部をハワイの陸上へと移していた。
松田中将率いる艦隊は山本長官の直率部隊に新造艦などを加えて増強され、第一艦隊を名乗っていた。
周囲を見渡すと、新雲級駆逐艦などが多く、巡洋艦の数は少ない。
南雲忠一中将は水雷部隊を率いていたが重巡洋艦を主体とする第二艦隊の司令長官に補され、先任である彼が第二艦隊だけでなく第一艦隊も指揮下に治めている。
今は第一艦隊とは別行動を取っている。
小澤大将率いる新設空母主体の部隊は第一機動艦隊、山口中将率いる空母部隊は第二機動艦隊と呼称されることになった。

第一機動艦隊
指令官:小澤治三郎大将
空母「信濃」「雲龍」「天城」「葛城」「紅鶴」「宝鶴」
重巡6隻
駆逐艦9隻

第ニ機動艦隊
指令官:山口多聞中将
戦艦 高速戦艦「比叡」「霧島」「榛名」「金剛」
空母 正規空母「赤城」(旗艦)「加賀」「飛龍」「蒼龍」「翔鶴」「瑞鶴」
重巡「三隈」「熊野」
軽巡「長良」「大淀」
駆逐艦9隻
なお、第一機動艦隊の重巡には2万トン級防空巡洋艦「石狩」「十勝」も含まれていた。

第一艦隊
司令長官:松田千秋中将
戦艦:「尾張」「淡路」「大和」「武蔵」
軽巡洋艦「仁淀」「能代」
駆逐艦12隻

第二艦隊
司令長官:南雲忠一中将
重巡洋艦「高雄」「愛宕」「最上」「鈴谷」
軽巡洋艦「多摩」「北上」「大井」「阿賀野」「矢矧」
駆逐艦15隻

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