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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 136

さて、ヨーロッパ戦線ではアイスランドにオランダ、ベルギー、デンマークなどからの義勇軍がドイツの目を盗んで集結し、アメリカ軍の支援の下、イギリス上陸作戦に参加することとなった。
イギリス本土上陸作戦は混成軍の状態で行うこととなりそうである。
イギリスを制圧し、制圧時に用いた上陸用舟艇などの上陸戦機材・人員を用いてさらに増援を集めて大陸反攻を進める連合軍だったが、いくつか頭の痛い問題を抱えていた。
まずはエレクトロ・ボートやこの頃ようやく実戦配備が始まったばかりのヴァルター機関搭載Uボートによる、物資・兵力の集積妨害。これにより戦わずして沈む陸兵も多かった。
さらに、連合軍による強襲制圧という事態に、占領民となった英国人の怒りは深く、様々な有形無形の準備妨害が英国人の手で行われた。
連合軍にしても、英国人たちを餓えさせるわけにも行かなかった。
兵站の崩壊で飢餓が生じて対独和平に至った以上、再び飢餓が生じれば致命的な問題になる。
米国の必死の努力により飢餓は回避されていたが、そうすればその食糧輸送の為に、軍用糧食の輸送・備蓄に遅延が生じるのだ。
さらに困ったことにはドイツに情報を流す者まで現れたのである。
連合軍はフォティチュード作戦により上陸予定地点を偽装しようと様々な謀略を用いた。
本当の上陸予定地点に爆弾を1トン落とせば、別の海岸に2トンの爆弾を落としたりした。
戦死した軍人の亡骸に参謀将校の格好をさせ、偽の作戦計画書を持たせて惑わそうとしたり、レジスタンス向けに上陸に呼応した活動合図の放送、それらしい偽物を本当に攻めようとしている海岸ではない方面に向けて流したりもした。
が、昨日までの友であった連合軍による本土占領に怒る英国人による情報漏洩などにより、上陸計画地点の情報をドイツは得ていて正確に上陸地点を見抜いていたのである。

−−−−−

英本土で、上陸準備が進む中、太平洋でも動きが生じつつあった。
ハワイ諸島に向けて日本の船団は、必死に粘る米軍潜水艦隊と死闘を繰り広げながら兵員や物資を送り込んでいた。
ハワイにひとまず集め、サンフランシスコやシアトルの守備部隊に送る分、ロサンゼルス・サンディエゴ攻略部隊用にハワイに集積される分に分けられた。
準備が進むある日、連合艦隊と航空部隊による合同訓練がハワイ沖で行われた。
陸海軍の航空部隊による合同対艦襲撃訓練と、艦隊による対空戦闘訓練である。

「220度方向より飛来せる敵機発見!距離100海里!」
戦艦「淡路」艦橋に、電測室からの報告が入った。

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