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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 135

ここで、時計の針を少し戻す。
7月2日、ハワイ。

イギリスとの停戦成立の知らせに、陸海軍の将兵は沸きかえった。
有馬機動部隊の大捷利の報に続く吉報に、彼らの士気はかつてなく高まっていた。
陸海軍とも、補充兵や増援の迎撃戦闘機部隊などが合流し、近く訓練を完了して西海岸を再び襲う準備が着々と進んでいた。
中でも期待を集めていたのは、キ83−五式双戦「旋風」−だった。ハ43搭載の双発長距離戦闘機であるが、高度10000mで時速745kmを発揮する高高度戦闘機として、護衛・迎撃の両方に使える強力な機体だ。
B29の迎撃には昼間は旋風、夜間は三式夜間戦闘機(暴風の夜戦型で複座化して機上電探と上向きの斜銃として30mm機関砲2門装備、主翼には通常の20mm機関砲4門装備した。キ88。通称:暴風夜戦。)とキ102丙−五式夜間戦闘機黒龍−が対応するようになった。
他にも、「甲斐」の搭載分が優先された為に全空母に行き渡ったわけではないものの、暴風四四型が一部の空母航空隊に配されて、訓練に余念が無かった。
ギュウゥ〜ン
ギュウゥ〜ン
空母「紅鶴」には艦上攻撃機「流星」が着艦していった。飛行甲板に逆ガル翼が並ぶ。
「壮観ですな。」
「飛行甲板も壮観だが、この大艦隊を陸上から見るのもまた壮観であろう。」
兵達は訓練中の休憩時間にこの艦隊の素晴らしさを話し合っていた。
「うむ、これは素晴らしい航空機だな。」
模擬空戦で流星の運動性を見た小澤大将(1945年6月付けで昇進)は呟いた。これでアメリカ太平洋艦隊に止めを刺すことは充分出来ると考えたのだ。
また、烈風の生産も軌道に乗り、少数ずつだがハワイにも送られてきていた。烈風も離着艦訓練を経て機動部隊へと転属して行った。

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