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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 132

ロケット弾や機関砲を撃ちながら突撃する制圧部隊をものともせず、空母の盾たらんとするその姿は大英帝国海軍艦艇にふさわしいものであった。2隻合計で11機の暴風を撃墜したのだ。
だが2隻とも、残る暴風の同時多発的襲撃で爆弾多数を浴び、水線部にも命中したのだろう、炎上しながら大傾斜した。
うち1隻はみるみるうちに傾斜が増し、そのまま横転した。
その間に、雷撃隊と急降下爆撃隊がインプラカブルとインディファテイガブルめがけて突撃する。
給油中だったシーファイアを強引に発進させた2隻は、必死に砲火を放つ。
急降下爆撃を図った暴風のうち2機、雷撃を行おうとした暴風のうち3機が、味方の砲火をものともせず攻撃してくるシーファイアに撃墜されたが、まずインディファテイガブルに800kg爆弾2発が命中して装甲飛行甲板を撃ちぬいて炸裂し、格納甲板にいた要員、生還したTBFアベンジャー雷撃機やフェアリー・バラクーダ攻撃機を薙ぎ払った。
さらに、右舷から突撃してくる雷撃機が投網のように合計8本の魚雷を放ち、うち4本が命中した。
右舷艦首に1本、右舷中央に2本、右舷後部に1本。
致命的だったのは右舷後部の1本で、右舷側のスクリューをもぎ取り、シャフトも台座から外れてしまい回転力がかかったままのシャフトが踊り跳ね、命中した箇所の傷を大きく広げてしまい機関室に大浸水を起こして極度に速度が低下、30分後にはインディファティガブルは横転沈没した。
インプラカブルも必死に回避を図ったが、シーファイアに撃たれた急降下爆撃隊の1機が艦橋に激突して2発の800kg爆弾の爆発とガソリンの炎上で艦長以下艦橋要員多数が戦死傷した。
これにより一時的に操舵指示を出す者がいなくなったところで800kg爆弾4発、魚雷4本を浴び、爆弾のうち1発は航空爆弾庫を直撃して誘爆を起こした。
自らの爆弾で竜骨まで折れたインプラカブルは乗員のほとんどを巻き込んで爆沈し、ここに英機動部隊は壊滅したのであった。
多くの犠牲を出したが攻撃隊は任務を果たした。
母艦を失って意地になって猛追してくるF6Fやシーファイアを、雷爆撃を終えて戦闘機に戻った暴風隊は烈風隊と共同で撃退し、帰途についた。

――――

その30分後。
重巡伊吹と第10駆逐隊が、上陸船団の残余を捕捉していた。
それは帝國海軍史に残る凄惨な海上の殺戮劇となった。
まだ動ける駆逐艦が必死に反撃するのを数分で蹴散らした後、20.3cm砲弾と12.7cm砲弾が輸送船を次々に炎上させる。
さらに魚雷で1隻、また1隻ととどめを刺して沈める。放り出された敵兵の中には日本艦のスクリュープロペラに巻き込まれて切り刻まれる者までいた。
だが英軍の闘志も恐るべしで、船上の自衛火器や、搭載していた戦車の主砲、砲兵隊の野砲などまで持ち出して必死に反撃してきたのだ。

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