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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 131

その陣容は制空隊の烈風が29機、暴風が250kg爆弾6発とロケット弾を装備した制圧部隊18機、800kg爆弾2発を装備して急降下爆撃を行う爆撃部隊16機、800kg航空魚雷2本魚雷を装備した雷撃隊16機、あと戦闘機として護衛任務に就く8機で合計58機。
修理なった機体のうち、艦隊防空に残した10機を除いたこれが全力だった。
目指すは英空母、インプラカブル、インディファティガブル。
有馬正文はこの一撃で決着をつけるべく手札の殆どを投じたのだ。
87機の攻撃隊は、電探による探知を遅らせようと今度は超低空を進撃する。
それでも英空母部隊は、一部の駆逐艦を外周に展開しており、その1隻が攻撃隊を探知した。
即座に通報が飛び、直衛隊のシーファイア戦闘機が向かってゆく。
制圧部隊の2機がその駆逐艦をスキップボミングで轟沈させ、29機の烈風隊が上昇する。
艦隊を目前にして、シーファイアの一団と日本軍制空戦闘機隊との戦闘が始まった。
この時上空にいたシーファイアは32機。本当はあと8機いたのだが燃料補給の為交代で一度着艦していたのだ。
制空隊との交戦を横目に、暴風隊は突き進む。
やがて、英機動部隊が見えてきた。
そこに、先の攻撃に参加していたF6Fのうち再出動した15機が急襲してくる。
駆逐艦を撃沈した2機を含む10機の暴風と戦闘になった。
攻撃任務の暴風隊は、装備しているうちの2本の火薬ロケットブースターを噴かして急加速して艦隊に迫る。
2箇所の空戦場では、撃墜された機体から流れる数条の黒煙が尾を引いている。
眼前の英艦隊は、中心に2隻の空母が並び、その周囲を巡洋艦、駆逐艦がとりまいている。輪形陣だ。
攻撃隊を射程に捕らえた艦から順に砲撃を始めた。
制圧部隊が先陣を切り、護衛の艦艇へそれぞれ向かってゆく。
高角砲弾が炸裂し、機関砲弾が曳光弾の煌きを放ちながら飛び過ぎてゆくさらにその下を、文字通り這うように海面上を飛び、スキップボミングで攻撃する。
駆逐艦2隻がまずこの攻撃で数発の爆弾を浴びて沈黙し、他の駆逐艦がその穴を埋めようと動く。
穴を通り抜けようとする暴風にも、撃墜される機がある。駆逐艦や巡洋艦が主砲で海面を撃ち、水柱で絡め取って落としているのだ。
暴風の一部は、残っているブースターロケットすべてに点火して、急上昇をかける。800kg爆弾2発搭載の急降下爆撃隊だ。
それ以外の暴風は、ある機はロケットで増速し、またある機は横滑り機動を行う。
これにより敵の対空砲火の照準を狂わせるのだ。
苛烈な射撃を行う巡洋艦2隻がある。
ダイドー級防空巡洋艦だ。
火力に比して防御力が低い為戦没艦も多いダイドー級だが、いざ防空射撃をさせると危険な相手であった。

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