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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 129

空戦を何とか抜け出した1部の烈風や暴風がTBFやバラクーダを追うが、すでに艦隊の対空砲の射程内に入っており、各艦の高角砲弾がいたるところで炸裂し、艦隊からみて右前方から襲い掛かる英軍攻撃隊に猛烈に射撃していた。
それでも烈風や暴風は追撃して射撃する。
前方で秋月級などの駆逐艦が主砲を水平に倒してTBFめがけて射撃している。
TBF1機が至近距離で炸裂した高角砲弾に撃墜されたところで、同じ編隊のTBFに向けて2機の暴風が20mmを放つ。
それに対してTBFは後席の旋回機銃で反撃しながら、必死に右に左にと回避を図るが、エンジンパワーでも機動性でも上を行く暴風2機がその編隊を次々に始末する。
どの駆逐艦も、近づいてくる敵機には主砲や機銃を砲身も焼けよとばかりに乱射している。
多くは甲斐を目指しているようだが、中には駆逐艦を狙ってくる機もあった。
1隻の駆逐艦の右舷艦首に水柱がたち、みるみる速度が衰える。
バラクーダの一団は艦隊直前でいきなり高度を上げた。
急降下爆撃をかけるつもりだろう、それを見た暴風が火薬ロケットブースターを点火して強引に加速して追撃し、射撃する。
バラクーダが1機、右主翼に1連射されて付け根から右主翼が折れて墜落する。
また別のバラクーダは烈風に追われて、エンジンに被弾して力尽き海面に激突する。
突如として炸裂する高角砲弾の数が急増した。
大型巡洋艦留萌が右舷に指向可能な9基18門の15.5cm連装高角砲を火の山のように撃っているのだ。
近くを通る機体には40mmなどの機関砲弾も容赦なく叩き込んで撃墜する。
多数の敵機と、巻き込まれた烈風1機が留萌の砲撃で潰え去った。
突破した英軍機にとっても、対空機関砲弾の曳火がアイスキャンデーのように機の左右を飛んでゆく。前から後ろへも、右から左にも、左から右にも飛んでくる。
全部が自分めがけて飛んでくるような錯覚にとらわれるが、英軍の搭乗員達も勇敢に突撃する
甲斐自身も必死に対空砲火を打ち上げる。
「面舵!」
「面舵ぃ!」
なんとか迎撃を突破した雷撃機・爆撃機数機ずつがともに右舷前方から迫ってくる。
そこに留萌や駆逐艦の高角砲弾が飛んできて、バラクーダ2機を撃墜する。
艦長がまず、面舵を命じるが甲斐の60000トンもの巨体は直進を続ける。
突っ込んでくる敵機の動きを見て、雷撃体勢に入ったところを見て艦長が叫ぶ。
「面舵一杯!!」
操舵手が大きく舵を切るとまもなく、甲斐の巨体が右へ右へと回りだす。
雷撃機に艦首を向けて対向面積を減らして魚雷を防ぎ、急降下爆撃機に対しても懐へ入ってゆくような動きだ。
甲斐の40mm機関砲がTBF1機を爆発四散させた。魚雷に命中したのだろう。

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