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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 128

これほど急ぐのは30分前に敵の偵察機であろうフェアリー・バラクーダが飛来していたからだ。
上空警戒の烈風が撃墜したものの、報告を発信していたことは甲斐の無線室でも傍受していた。
敵は寸刻も早く攻撃隊を寄越してくるだろう。
まずは攻撃隊参加機のうち再出撃可能機を全機、防空戦闘に投入するつもりなのだ。
インプラカブル級2隻で搭載機数は約140機。
直衛に残す戦闘機があるにしても、100機前後が攻撃に来るだろう。
「電探に機影!」
レーダーが敵編隊を捉えた。
「来たか!」
歓待に緊張が走った。
タッタカター!タッタカター!
「対空戦闘配置に付け!」
「右45度敵機!」
「射撃始め!」
ドッガガガガガガガガガガガガ
ズドドドドドドドドド
対空砲火が一斉に火を吹いた。
英軍機は電探による探知を遅らせるためだろう、全機が超低空を這うように進撃してきた。
機体は米国供与のF6FやTBFもいるが、フェアリー・バラクーダやフェアリー・ファイアフライもいた。
この時は近距離になるまで日本軍戦闘機は迎撃を行えなかった。
烈風と暴風はこの時、合計で70機ほどが防空任務に就いていたが、中高度にいたのが災いしてか、迎撃開始が遅れた。
それでも、雷爆撃を阻止しようとTBFアベンジャーやフェアリー・バラクーダを主に狙って覆いかぶさるように攻撃をかけようとする。
だがファイアフライやF6Fヘルキャットが妨害に入ってくる。
迎撃機の到来に気づくのが早かったらしく、烈風と暴風が襲い掛かった時には3000mあたりまで上昇しそこで空戦になった。
1機のF6Fが20mm弾で尾翼を吹き飛ばされ、安定を失って堕ちてゆく。
また別のF6Fは暴風と正面攻撃になり、互いの銃撃で相打ちになった。
ファイアフライは単発複座で戦闘機としてはあまり強くなかったが、それでも挑みかかってゆく。
ファイアフライを追っていた烈風が、F6Fに横から撃たれて撃墜される。直後にF6Fも別の烈風にコクピットを撃たれて操縦士がコクピットを朱に染めて絶命し、石のように落ちていった。
だが、空戦は全般的に日本軍が押していた。
F6Fに対しては暴風四四型も烈風も性能で遅れを取っておらず、水星や木星改のパワーに物を言わせて暴れていた。
ファイアフライの性能はたいしたことが無く、暴風1機が落ちる間に2機か3機が撃墜されていた。

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