PiPi's World 投稿小説

太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

の最初へ
 125
 127
の最後へ

太平洋の荒波 127

高速飛行しながら250kg爆弾を切り離すと、着水してしばらく水中を突き進んだ後、海面から飛び出して敵艦を爆砕するのだ。
2機合計12発、運のよい艦でも1機から6発の250kg爆弾を投げつけられ、どの駆逐艦も数発の爆弾を浴びて沈黙し、運の悪い艦は艦尾を吹き飛ばされたり、水線部に直撃されて大浸水して横転沈没したりした。
対空火力が弱まりつつある中、雷装機は護衛空母めがけて突撃し、それを支援すべく暴風8機が巡洋艦を狙う。
同じようにロケット弾と20mm機銃で対空砲火を制圧しつつ、多数の爆弾を叩き込む。
巡洋艦の艦上で次々に爆弾が炸裂し、巡洋艦の生命を削り落としてゆく中、護衛空母の艦長たちは必死の操舵で雷撃機の攻撃をかわそうとするが、貨物船などの船体を流用した低速の護衛空母では無駄なあがきでしかなかった。
海面ぎりぎりの超低空を突進する暴風1機あたり2本、対空砲火で落とされた機体を除いても、護衛空母1隻あたりで少ない艦で6本、酷い場合は10本の魚雷を投網のように送り付けられ、商船船体で脆弱な護衛空母たちは魚雷を2、3本ずつ受けて、黒煙を上げながら横転沈没した。
さらに、残りの機体が輸送船や護衛艦艇に急降下爆撃をかける。こちらも250kg爆弾6発装備だ。
この爆撃で、弱った駆逐艦や鈍足の輸送船が情け容赦なく滅殺されてゆき、スエズ奪回に燃える英陸軍将兵を輸送船上で爆死、又は船ごと海没させてゆく。
暴風隊の猛襲は短時間で終わったが、後に残されたのは満身創痍の浮かぶスクラップと化した巡洋艦や、爆発横転する駆逐艦、魚雷で艦体を折られて轟沈する護衛空母から、沈没時の渦にのまれまいと必死に泳ぎ逃げる乗員達。
輸送船もある船は沈みかけ、別の船は炎上し、健在な輸送船はほぼ半数になっていた。
暴風隊は敵の護衛部隊に対して、完璧な仕事をしたのだ。
対空砲火と戦闘機で撃墜された暴風の合計は9機だった。
F6Fの一部をひきつけていた烈風隊も、攻撃終了を見て引き上げてゆく。

驚いた機動部隊が差し向けた戦闘機隊が到着した時には、既に船団は上記の惨状を呈しており残った輸送船が必死になって、沈んだ艦船の乗員を救助しているところだった。


1時間後。帰還した攻撃隊が次々に甲斐に着艦する。
「修理、補給急げ!烈風も暴風も直衛に出す!」
飛行長が怒鳴り、無傷だった機体には弾薬と燃料を補給し、要修理機は昇降機で降ろされてゆく。試作品のサイドエレベーターはこの時に威力を発揮した。着艦を支障せずに機体を降ろせたからだ。
同時に、搭乗員達には栄養ドリンクと航空弁当が振舞われる。つかの間の休息を終えた搭乗員たちは、補給を終えた機体から次々に発艦してゆく。
このとき、まだ着艦が続いていたのだがアングルド・デッキと広い飛行甲板の効果は高く、収容と発艦が同時に行えた。

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す