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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 126

偵察に出ていた8機を除く、暴風80機もの全力出撃である。
後に取材に答えた当時の参謀曰く、「船団さえ潰えれば彼らが来た意味など無くなります。英空母部隊の所在が不明であったことを考え、とにかく先手を取る事にしたのです。」
との事であった。

烈風20機、暴風80機の100機もの攻撃隊は、進撃しながら編隊を組み、船団発見が報告された海域を目指し突き進む。
途中までは留萌の零式水上観測機からの長波が送信されており、受信しながら進撃したが、その電波は途中で途絶えた。
実は無線機の故障だったのだが、不意に電波が途絶えた事に気づいた攻撃隊は、高度を取った。烈風隊が5500m、暴風隊は5000mである。
「いよいよだな・・・。」
搭乗員たちは迎撃の予感に緊張感を深める。指揮・誘導用に複座化されている甲型では偵察員がサングラスをかけて太陽の方向を見る。
「来た!!」
英軍戦闘機隊は、太陽を背負って暴風隊めがけて急降下してきた。
危ういところで烈風隊が気づき、機首を上げる。
「F6Fか!」
おそらくは護衛空母が放った迎撃部隊だろう。すんでのところで暴風隊は火薬ロケットのうち2本に点火して急加速して回避し、烈風隊がF6Fを追う。
英軍のマークを付けたF6Fと、すぐに猛烈な空戦になった。
烈風隊が戦う間に暴風隊は突き進む。
「見えました!船団です!」
数分で船団を見つけた彼らは、すぐに攻撃態勢を整える。
護衛空母を狙う雷撃隊、主に護衛艦艇を狙う爆撃隊。
攻撃隊長が素早く護衛艦攻撃の担当機を割り当ててゆき、護衛艦艇−巡洋艦が2隻、駆逐艦が11隻−へと向かわせる。
巡洋艦1隻に対し4機、駆逐艦1隻に対し2機。
高度を下げてゆく。反跳爆撃をかけるつもりだ。
護衛空母に対しては、1隻あたり4機か5機の雷装機が向かってゆく。
残った機は輸送船を爆撃すべく高度を上げる。
護衛艦艇たちが高角砲で応戦してくる。
だが暴風隊はものともせずに突進する。
英機動部隊の救援を得ようと、船団は緊急信を打ちながら全速力で北走する。
追いかけるように、後方から攻撃体勢に入る攻撃隊の頭上から敵戦闘機隊が降って来るように攻撃してきた。
初撃で3機、第2撃で2機の暴風が撃墜される。
だが、高角砲弾の爆煙、機関砲弾の曳火が飛び交う中、残る暴風はそれぞれ割り当てられた目標めがけて突進する。
最初に攻撃されたのは駆逐艦たちだった。
這うような超低空から、両主翼下に2発ずつ搭載した28号ロケット弾と20mm機銃で敵の艦上を制圧しつつ、次々に爆弾を投下する。

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