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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 124

狂喜したヒトラーの特命によりその後は急速普及した事もあって連合軍重爆撃機部隊はかなり追い詰められていた。

さて艦隊に視線を戻すと、甲斐と共に進むのは重巡洋艦伊吹。最上級の拡大型で主砲が20.3cm砲連装5基10門というのは最上級と変わらなかったが、航空艤装を撤去して長10cm連装高角砲を両舷各3基装備していた。
こちらも40ミリ機関砲を連装6基12門、25ミリ機関砲を3連装10基、単装12門搭載している。
伊吹とともに甲斐の左右を固めるのは石狩型大型軽巡の3番艦留萌。
60口径四式15.5センチ連装高角砲10基20門を始め全身ハリネズミのように防空火器を装備している。
そしてこれらを、秋月級などの駆逐艦14隻が護衛していた。
合計17隻のこの艦隊はセイロンに入港して最後の補給を終えた後、アフリカ大陸東岸へ出撃した。

南アフリカを拠点に粘るイギリスの潜水艦隊がこの艦隊を発見したのは、スエズ攻撃の戦艦部隊と上陸船団が南アフリカを出発した直後のことであった。
無線傍受と、その後アフリカ大陸から飛来した英軍偵察機の存在によって自分達の存在が知られたことを知った、有馬正文中将率いる日本機動部隊は、果敢な行動に出た。
マダガスカル島を迂回するように南進し、敵の背後を取って上陸船団の殲滅を狙ったのだ。

この時の英海軍の配置は前衛としてクイーン・エリザベス級とR級の合計5隻を主軸にした旧式戦艦部隊、その次が航空母艦「インプラカブル」「インディファティガブル」を主軸とする空母部隊、その背後に米国製護衛空母5隻を含む上陸船団という構成であった。
本当は護衛空母はもう1隻いたのだが、中部大西洋でUボートに撃沈されていた。他にも輸送船2隻、駆逐艦3隻がUボートの餌食になっている。
通常の輸送船団だと護衛空母は1隻か2隻しか付かず、間接護衛部隊のエセックス級空母や陸上基地の対潜航空部隊の支援を受けていてももっと多くの輸送船や護衛艦艇が沈むことを思えば護衛艦隊は健闘したと言えるだろう。
戦艦部隊、空母部隊、船団とも各10隻を越す駆逐艦に護衛されていたのだから。
有馬中将の放った零式水上観測機がついに目標とする輸送船団を発見した。
「敵船団見ユ。輸送船多数有ルモ、視界不良詳細不明。」

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