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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 123

中には日本の商船改造の護衛空母「衛鷹」が運河通行中に急襲されて被爆大破し、曳船で地中海側の港町ポートサイドへ引き出されたものの力尽きてポートサイドで着底するといった出来事も起きていた。
イタリア海軍の支援で修理する事に決まったが今のところ浮揚作業中である。
そこにスエズ突破作戦の知らせである。
ここに、日本海軍が満を持して送り出す一群の艦艇があった。
まず、旗艦である航空母艦「甲斐」。
大和型四番艦を改装したもので、飛行甲板の装甲化は行われず、搭載機数は烈風が40機、暴風が88機、天山の対潜哨戒型が12機の合計140機にも達した。
信濃より搭載機数が増えているが、信濃ほど建造工事が進んでいない段階で空母への転用が決まった為、内部構造の合理化ができたのだ。最大速度は30.8ノットで、公試時の過負荷全力発揮試験では31.22ノットを発揮した。
さらに、巨躯を生かした実験艦としての意味合いもあって試験的にアングルド・デッキを採用している。
試作型の油圧カタパルトも3基装備している。
エレベーターは日本空母としては初めて4基装備となり、1基は試験的にサイドエレベーターが採用されていた。
対空武装は長10センチ連装高角砲が12基24門、40ミリ連装機関砲17基34門などである。
暴風は最新型の通常型(戦闘攻撃機型)の四四型で、ようやく量産化が始まった2500馬力エンジンのハ214「木星改」を搭載した機体である。
従来型に比して500馬力もの強化による効果は著しく、800kg航空魚雷2本又は800kg爆弾2発、500kg爆弾なら3発、250kg爆弾ならば6発を搭載できた。
四四型には甲型と乙型があり、甲型は偵察又は指揮用の複座型、乙型は単座型である。
烈風も搭載エンジンである三菱ハ43「水星」の性能がようやく安定し、量産が軌道に乗りつつあった。
使い捨て排気タービンを装備した型の完成も間近と言われ、陸軍のキ83などとともに期待を集めていた。

また、少し前から発艦補助用の火薬ロケットブースターが枢軸軍で普及するようになっていた。
日本では武装重量の増大による滑走距離増大対策。レシプロ機の場合は数を多めにして一部のロケットは攻撃時や避退時の急加速用としても使われた。
ドイツではジェット戦闘機の離陸・上昇時の加速の悪さと、ただでさえ燃費の悪いジェットエンジンが離陸上昇時に燃料をドカ食いする欠点を補正する為であった。
これによる燃費改善と、R4Mロケット弾による猛打は連合軍重爆撃機に対し猛威を奮い、ドイツ軍のジェット戦闘機隊はまさに悪魔のごとき暴れっぷりを見せた。何しろ、試験的にR4Mが用いられた最初の1ヶ月、1945年4月だけで少数機しかまだ運用していなかったにもかかわらず500機もの重爆撃機を稼動不能に追いやるという戦果を挙げた。

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