PiPi's World 投稿小説

太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

の最初へ
 118
 120
の最後へ

太平洋の荒波 120

防空駆逐艦秋月級が長10センチ砲に仰角をかけ、最新鋭の大型軽巡石狩級や戦艦淡路級や大和級が主砲や高角砲に仰角をかける。
ちなみに石狩級は、「戦艦以外のどんな相手でも叩き潰せる」ことを目標に開発された大型の巡洋艦で、基準排水量20100トンの艦体に、大和級の副砲である15.5センチ砲を基にして砲弾を薬莢式にし、装填機構も改良する大幅な改設計をした四式15.5センチ高角砲を主砲として連装10基20門を艦前部と後部に中心線上に各4基、艦体中央に左右両舷各1基装備した艦である。
戦時量産型の大型巡洋艦として、対艦戦、対空戦の双方に活躍できる艦として計画され、現在ネームシップの石狩と2番艦の十勝が慣熟訓練を終えてハワイに配備されていた。
発射速度が高く、有効射高も13000mに達するこの大型軽巡は3番艦留萌以下、本土で訓練や建造が続けられており、海軍中央の期待の高さをうかがわせた。

さて、空に視線を戻すと、紫電改と暴風だけでも100機が上がっていて、P82たちと激しく戦っていた。
大半のP82がB29から引き剥がされ、そこに月光や屠龍が群がるようにB29を攻撃するのだが、敵編隊は次第にハワイへと接近していた。
「畜生、なんて硬さだ!」
月光と屠龍は斜め銃でB29の腹を狙う。
だがなかなか堕ちない。
重戦闘機仕様の暴風はハ42木星エンジンの大パワーずくで食い下がり、30mm機関砲で次第にB29の数を削ってゆく。
そしてハワイ諸島上空。
陸軍高射師団の三式12センチ高射砲や五式15センチ高射砲が照準電探からの数値を受け取り、射撃を開始した。
五式戦−飛燕改−の一団や、食い下がっていた暴風が、味方の高射砲弾など無視してB29に食らい付いてゆく。
猛烈な炸裂煙と破片が一帯を包む中、1機、また1機とB29が叩き落されてゆく。
弾幕はさらに激しさを増す。
「避退せよ!防空戦闘機隊、避退せよ!」
管制官が無線で戦闘機隊に叫ぶ。
暴風と飛燕改が避退したのを見たB29部隊のクルーは、同士討ちの危険まで犯して攻撃してきた日本機の動きに不気味なものを感じた瞬間、巨大な火球が各所に炸裂するのを見た。
戦艦部隊が四式榴弾を発射しているのだ。
B29が次々に火球に飲み潰され、さらには石狩級や秋月級の高角砲も射撃を開始していた。

「ふう、危ないぜ・・・。」
B29からやや離れて追跡する飛燕改や暴風の操縦士たちは陸海軍合同の重高射火器や主砲の対空射撃の猛威に、冷や汗をかいていた。中でも四式榴弾の威力は絶大で、コンバットボックス隊形で飛ぶB29の一個梯団が丸呑みにされることさえあった。

「よし、脱落機を仕留めるぞ!」
被弾して速力が落ちたり、編隊から脱落したB29に、日本軍戦闘機隊は情け容赦なく襲い掛かった。

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す