PiPi's World 投稿小説

太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

の最初へ
 117
 119
の最後へ

太平洋の荒波 119

さて、日本の大艦隊が集結し、膨大な数の基地航空隊が駐屯しているハワイであるが、この基地をアメリカ軍が放っておくはずも無く、日本軍の機動部隊がアメリカ西海岸を去ると戦略爆撃機が日夜ハワイを攻撃してきた。
「レーダーに敵機を捉えました。その数は約300!」
「来たか。」
「迎撃機に出撃を命じよ。」
「了解、全機発進!」
紫電改と暴風は護衛戦闘機に、月光と屠龍はB29に襲い掛かった。
「あいつが噂のツインムスタングとかいう奴か!」
米本土からの英国向け空輸はアイスランド経由で行われていたが、同伴しては英本土に駐留するようになったP82ツインムスタングの情報はすでに日本にも伝わっていた。
それがハワイ爆撃の護衛にも120機も参加しているのだ。
横に2機のP51ムスタングを連結した構造だが、双発機としては軽快で、高速も健在な為結構厄介であった。
それでも紫電改、暴風は20mm機関砲4門を武器にP82と渡り合っていた。
月光、屠龍、30mm機関砲装備の重戦闘機仕様暴風がその横をすり抜けて、180機のB29を攻撃する。
「畜生!馬力不足か!」
屠龍や月光も必死に迎撃するが、高度10000mを飛ぶB29に対しては苦戦した。高高度性能が足りないのだ。


オアフ島のハワイ防衛軍司令部。
陸軍ハワイ防衛司令官に任じられた本間雅春大将や参謀達が、巨大な情報図を睨んでいた。
米本土から接近する戦爆連合300機の刻一刻と接近する様子、各種防空戦闘機隊がそれに向かってゆく様子が表示されていた。
「米軍にしては少ないな。」
「米軍の重爆のうち、B24やB17は英本土に多くが回されています。B29も英本土主体ですが、航続力の関係でこちらにも回されています。さすがに両方で1000機爆撃というのはいかなアメリカといえど難しいのでしょう。
裏を返せば、我々が奴らの爆撃機を消耗させればさせるほど、イギリスへの援助が減る訳です。」
「うむ。ところで飛燕改は大丈夫なのかね。」
「まだ数が少ないですが、彼らならやってくれるでしょう。早くハ42、ハ43にも排気タービンが欲しいところです。」
広い司令室では、本間司令官やその参謀だけでなく海軍の参謀なども詰めている。
報告や怒号、命令や復唱が交錯している。
その上空では、キ100こと、五式戦闘機飛燕改が旋回していた。ハ112-Uル。海軍でいう金星エンジンに、使い捨て同然の排気タービンを装備したものを搭載する機体で、ようやく配備が始まったばかりだ。
それが2個中隊、参戦していた。


警報が鳴り響き、潜水艦などの艦艇は避退を図る。島から離れて潜水して身を隠すのだ。

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す