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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 118

一向に大陸反攻に向けた準備を思うように行えない中、更なる妨害が英国南部の港に行われた。
何を隠そう、V1号、V2号の両ミサイルによる港湾攻撃である。
「たとえ米軍が英本土に300万人の陸軍を展開させようとも大陸反攻をさせてはならない!攻撃可能な部隊は連合国の輸送船団と港湾を攻撃するのだ!奴らを決定的な飢渇に追い込むのだ!」
ヒトラーは軍高官達を前にこう叫び、英国の兵站を崩壊させよと異様なまでの執念を見せた。
勿論、攻め立てるのは酸素魚雷装備エレクトロ・ボートやミサイルによる攻撃だけではない。
Ju287、Ar234といったジェット爆撃機が英本土南部のレーダーサイトや鉄道線路を急襲する。
Do335などの高速機に護衛されたジェット爆撃隊も、英本土防衛に対する脅威となっていた。
同時並行で、He274、He277、Ju390ら大型爆撃機の部隊は米軍式のコンバットボックス編隊を組んでは機雷投下したり、航空機工場への爆撃を行ったりした。彼らも限られた戦力を集約する為、都市への無差別攻撃はほぼ停止していた。
アメリカ軍は海上輸送の危険から航空輸送を開始した。飛行艇や大型輸送機を使ってイギリスに武器弾薬燃料などを運搬するのだ。この護衛に戦闘機を随伴させ、その戦闘機もイギリスの飛行場へ着陸させる。その後はドイツ爆撃の護衛戦闘機として使うのだ。
「いかん……このままでは連合軍の大規模上陸作戦の準備が進んでしまう……」
アメリカ軍の航空輸送作戦を知ったドイツ軍は「大西洋の壁」をさらに強力なものとし、海岸を地雷や鉄条網で埋め尽くしていった。
「……異常なし。」
毎日朝と夕方、そして夜中。海岸防備の将兵は双眼鏡を覗き、連合軍の上陸がないかチェックしていた。しかし、イギリス軍の兵力、物資共に余裕がない状況下、なかなか本格的な連合軍の上陸作戦は行われなかった。

しかし唯一違ったのが地中海方面である。ドイツ軍は北アフリカから兵を引き挙げていたのだ。これにより、イタリアは苦境に立ち、シシリー島が連合軍の攻撃を受け続けていたのである。
グオォ〜ン
「敵機来襲!」
ダダダダダダダダ
イタリア軍は激しく対空砲火を撃ち上げる。
ヒュルルルルル
ドドーン
キュルルルル
ドカーン
連合軍機は無造作に爆弾を落とすと飛び去って行った。
「またやられたか……」
イラクなど中東に駐留するイギリス軍がイタリアに圧力をかけていたのだ。

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