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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 117

すでにUボート用ブンカーは耐10t爆弾級のものが完成していたし、燃料・爆弾の供給が心もとないなかでの港湾・造船所への爆撃の集中は確かにある程度Uボートの増産や運用に悪影響を与えはしたものの、今度はハインケルやメッサーシュミットなどの航空機工場への爆撃に回す爆弾の不足を引き起こす結果となったからだ。
おかげで戦闘機の増産にはプラスとなった。


「諸君らの献身は本当にありがたい。空軍や海軍の将兵の献身にも負けない立派な働きだ。今後とも諸君らの献身に頼る事になるが、よろしく頼む。」
1945年6月初め、ハンブルグで造船所やその周囲の市街への爆撃に対する消火活動に献身した消防士たちをねぎらってのヒトラーの言葉である。
この頃にはゲッペルス宣伝大臣の度重なる提言にヒトラーも重い腰を上げ、被災地を視察しては市民を激励したり、消火に献身した消防士を称えたりするようになっていた。

英米の物量と粘り強さにもかかわらず、ヒトラー自身による視察激励や、ゲッベルス宣伝大臣のラジオ演説はドイツ国民の士気を支え続けた。
また、エレクトロ・ボートなどの通商破壊によって英米も非軍事目標への爆撃を行う余裕が無くなったこともドイツ国民の気力を回復させた。
陸軍と武装親衛隊は「大西洋の壁」の構築に余念無く、港湾爆撃への反撃としてドイツ空軍はポーツマスなどイギリスの港に爆弾や機雷を投下した。
大陸反攻上陸をさせない為だ。
ジェット戦闘機やDo335やTa152などの究極的なレシプロ戦闘機、それにHe219夜間戦闘機で防空するだけでなく、Ta152などの護衛を受けて港湾攻撃に向かった爆撃隊は英米空軍の熾烈な迎撃で損害も重ねたが、それ以上にイギリスの兵站は苦境にあった。

まもなく7月。イギリスでは総選挙が予定されており、食糧事情の悪化など戦局の悪化はチャーチル政権の支持率を大幅に下げていた。
野党労働党の勝利を予想する記事が新聞や雑誌にあふれていたのだ。
日本軍の支援によるインド独立戦や、通商破壊部隊の攻撃により茶葉の供給も滞りがちで、既に茶相場は開戦前の3倍以上に暴騰していた。
他にも迎撃戦闘機や護衛戦闘機、爆撃機、対潜哨戒機に燃料を回す為に自動車などの燃料統制が厳しく敷かれるようになり、鉄道では比較的余裕のある石炭を用いよと蒸気機関車の増産が叫ばれ、アメリカが送り出す援助物資も、トラックなどの比率が次第に減り、鉄道車両の比率が次第に増大していた。

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