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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 114


さて、晴嵐隊だが、その攻撃目標はパナマ運河であった。
500キロ爆弾1発を装備し、超低空で接近する。
目標は太平洋側、ミラフローレス閘門であった。
ちなみにフロートは発進直後に投棄している。
高速を出す為と、状況的に見て再発進・再攻撃の機会は恐らく無いと思われるが故の処置であった。

特に選抜された搭乗員たちの技量は高く、海面すれすれを這うように、いや、伸びるように高速で突き進む。
そして米軍守備隊。
レーダーで晴嵐隊を発見した時には、すでにかなり深く飛び込まれており、どこから発進したのか混乱しながらも邀撃戦闘機と、母艦を探すべく偵察爆撃機を発進させていた。

そして、ミラフローレス閘門近海。
「いたぞ!ジャップだ!」
P−51マスタングが晴嵐隊めがけて襲い掛かるが、超低空を這い進む晴嵐への攻撃に手間取った。
銃撃しようと突っ込んでも、下手すると自分が海面に激突するからだ。
その鼻先をめがけて、晴嵐の後席員は13mm旋回機銃でP−51の照準を惑わせる。
なかなか晴嵐を撃墜できない米戦闘機隊だったが・・・


「8番機被弾!」
「了解!」
晴嵐隊隊長機内のクルーの会話である。
晴嵐の1機が右主翼を撃ちちぎられて海面に衝突する。
この日の為に選抜された大ベテランの優秀な搭乗員2人が散華したのだ。
そうこうしているうちに、ぽつぽつと対空砲火が見えるようになって来た。
パナマ湾岸、水路上空へ飛び込む晴嵐8機に対し、居合わせた駆逐艦などの水上艦艇や、地上の対空機関砲のうち晴嵐隊を射界に捕らえたものが銃火を閃かせているのだ。
各機にも、高角砲弾の破片が当たる音がしたり、すべての曳光弾が自分に向かってくるような錯覚を覚えさせる。
「2番機被弾!」
エンジン部分に機関砲弾が命中したらしく、エンジンを焼きつかせながら墜落する。
また優秀な精鋭2名が散華したのだ。
残る晴嵐は7機。

「よし、あれがミラフローレス閘門だ!攻撃するぞ!!」
隊長機から全機に無線の音声が飛ぶ。
「目標!奇数番機は右閘門、偶数番機は左閘門!」
晴嵐は2列の縦隊となった。そして・・・

「よし、進路このまま・・・撃てぇっ!!」
超低空を全速飛行しながら、ミラフローレス閘門手前で爆弾を投下する。
投下された爆弾はいったん水中に飛び込むと、しばらくは水中を直進し・・・

ガズアアン!!!
左側の閘門の水中部分を直撃!!!
バガアアン!!
同じく右側の閘門にも炸裂!

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