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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 112

さて、日本軍艦隊がアメリカ西海岸で長期にわたって作戦行動を行えるのには補給体制がある。
蘭印とトラック島の間をタンカーがピストン輸送をし、燃料を集める。また、本土とトラック島の間を大型商船がピストン輸送をし、物資を集める。この集まった燃料と物資をハワイに輸送船、油槽船、大型商船、飛行艇などで運搬する。そしてその物資を満載した補給部隊が作戦行動中の日本軍部隊に物資を届けるのだ。補給部隊は作戦部隊と行動を共にするが、補給部隊は二手に分かれており、片方が補給をする間にもう片方は休養が与えられていた。
「あっ、この先砲火が見られます。」
「うむ。一時停止しよう。」
「了解。」
補給部隊は日本軍が対空戦闘をしている間、一時的に停止した。
「砲火やみました。」
「よし。全速前進!」
一方対空戦闘を終えた日本軍艦隊も補給部隊を発見した。
「見方補給部隊です。」
これを見てそれまで随伴していた補給部隊はハワイへ向かい、新たに来た補給部隊が給油等を開始した。
一方、山口多聞率いる機動部隊は、ハワイに入港した。ここで補給、修理、乗組員の休養などを行うのだ。特に航空機の消耗が激しく、搭乗員の練成と再編成を行わなければ以後の作戦に参加することが困難と見られていた。
「しかし、ご苦労であった。ゆっくり羽を逃してきて欲しい。」
山口少将は淵田美津夫中佐、村田重治少佐、板谷茂少佐等の各航空隊長に休養を与えた。長いアメリカ西海岸の戦いでかなりの疲労が溜まっていると考えたのだ。
グオォ〜ン
ゴオォォ
キュゴォ
ヒュウゥ〜ン
キイィーン
ヴイィ〜ン
ハワイ基地では新たに空母艦載機となる飛行機と、その飛行士が集まり、「赤城」と「飛龍」で離着艦訓練を行っていた。彼らの努力と、素質によってあっという間に練度は上がり、作戦に全く支障ないものとなった。
また、ハワイにはアメリカ軍が遺棄して行った大量の食料やレクレーション施設、休養所などがあり、それが搭乗員達の士気を保ったことも大きい。
「本日の訓練はここまで。」
教官が訓示を終え、
「分れ!」
と解散を指示すると、搭乗員達はゆっくりと休み、または存分にストレスを解消することが出来た。
「次の作戦までに遊んでおかなくてはな。」
「ああ。艦上では流石に遊べんからな。」
「おぉ。これは旨いぞ。」
「こ…コンビーフってのか。」
こうして、練習の疲れはその日のうちに取ることができた。

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