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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 108

「おぉっ、帰ってきたぞ。」
帰還したのは暴風2機、天山6機、零戦5機の13機であった。実に半数を失ったのだ。
「ご苦労。よく帰ってきた。」
山口多聞はそう言い、搭乗員を労った。その時である。
「『榛名』二号機より入電。敵空母発見!」
先の部隊と全く別の方向に空母がいたのだ。これは慌ててアメリカ軍が発進させた「ボノム・リシャール」であった。エセックス級の大型空母である。
「まだあったか……」
山口多聞は既に航空機が少ないことを考え、小澤治三郎の率いる機動部隊に支援を求めた。
「敵ノ防空戦闘機及ビ敵艦ノ対空砲火ノタメ、航空隊ニ甚大ナル被害ヲ受ケ作戦続行困難ナリ。至急救援ヲ乞フ。」
と小澤中将宛てに電文を送った。
「よし、転舵だ。山口を支援するぞ。」
空母「宝鶴」艦上の小澤中将は即決し、山口多聞とともにアメリカ機動部隊を攻撃することを決定した。すでにこの頃アメリカ軍の陸上航空基地の多くを破壊し尽くしていたこともあり、小澤の決断は素早かった。
「我、之ヨリ支援ニ向カフ。」
小澤中将は山口少将に打電した。
「小澤さんが支援に来るそうです。」
「そうか。感謝せねばな。」

「あ、味方です。」
「小澤さんだ。」
空母「宝鶴」の発光信号を見た山口は顔を綻ばせた。
そこへ帰って来た二式艦偵を「赤城」に収容せず、「宝鶴」へ着艦させ、敵情を報告させた。
敵情を知った小澤中将はすぐさま空母「紅鶴」「宝鶴」から暴風23機、天山28機を発進させ、敵空母攻撃に向かわせた。この途上、アメリカ軍水雷戦隊と遭遇した。
「敵水雷戦隊発見セリ。」
「空母部隊ヲ捜索セヨ。」
小澤中将は
「空母以外は雑魚だ。」
と呟いた。
「敵機動部隊発見。」
「ト・ツ・レ(突撃体勢作れ)」
「トトトトトトト・・・・・・(全軍突撃せよ)」
ドンドンドンドン
ダダダダダダダダダ
ズドドドドドドドド
アメリカ軍のスコールのような対空砲火が日本軍機を狙う。
ボゥ〜ン
早速暴風が火を拭き海面に叩きつけられた。それでも日本軍艦載機搭乗員の士気は衰えない。
「行け、行け!止まるな!ひるむな!」
ヒュウゥゥ〜
キュルルルル
ザバァン 
各所に水柱があがる。

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