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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 99

「突然変異が起こり易くなりますが……巨大化は」
「娯楽映画ですから現実に起こり得ない事も大丈夫ですよ」
円谷はGが核物質爆弾により巨大化して東京を襲うと言う設定を提案する。
「敵は国際犯罪組織にする事でアメリカに配慮します」
「なるほど」
「そしてGは人間が演じるのです、Gの外見に見える大きな服を着て、人間サイズに準じたセットを組むのです」
所謂着ぐるみと言う発想は円谷が戦前に公開されたキングコングを映画館で見た後常々思っていた。
キングコングは“コマ撮り”と呼ばれる手法でキングコングの人形を少しずつ動かす事で再生すれば宛も動いているように見えるがこれには膨大な時間がかかりこれだけでも七年間も要した。しかも動きは生物とは程遠い……更に人形は壊れる恐れもある。それならバケモノそのモノを人間が演じ、巨大怪獣なら人間サイズに準じた建造物を再現すればダイナミックに動ける。これには映画に関して素人のフラーも納得した。
「お父様、ジョン.エフ.ケネディ駐日大使様がお見えです」
「おお……」
布哇講和条約に伴い米国は駐日大使にジョン.エフ.ケネディを指名したのである。前は英国大使であったが色々と折り合いが悪くなり一時期は政界から遠ざかっていた。
「ホワイトハウスの許可が下りました、核兵器暴発の被害を公表します」
「海軍トップの一人として、遺族や被害者に申し訳ないと思う。よもや爆発するとは思いもしなかった」
橘は深く頭を下げるもケネディは首を横に振る。
「あれは日本軍の責任ではないです、衝撃による起爆は起こり得るとしてロモアラモス側も幾度か防空網強化を求めてましたが……ワシントンに辿りつく前に握りつぶされたと聞いてます」
「何処の国も事態に直面しないとその重要性が認識できない事は同じですな」
フラーは飲み慣れつつある日本酒を喉に流し込むと言う。
「核物質爆弾の恐ろしさは伝わるでしょうか?」
するとケネディ大使は傍に居た職員から鞄を受け取り写真を見せる。それがロモアラモス研究所付近に居た兵士の被曝写真であり尋常に成らざる大火傷が全身に起きていた。手塚は医者として自分には対処できないと感じたのである。
更に添付された資料を読むとそれが現実と分かる、写真の彼は撮影されて数ヵ月後には帰らぬ人になったと記されていた。
「円谷さん、これは良いプロバカンダにしなければなりません。恐らくナチスドイツはミュウヘンブルクは日本軍に核攻撃されたと宣伝するでしょう……」
「核物質反応爆弾に関する資料を制限付ですが閲覧できるように手配しておきます。円谷殿、宜しく頼みます」
橘は封筒を差し出す。
「こ、これは!!!」
「私のポケットマネーです、G映画製作の足しにしてください」
橘は核を使わせない為なら老後の蓄えを差し出す覚悟でもあった、それは前世では無念のまま生涯を終えた事も起因している。
「橘次官殿は前世の記憶があると言われてますが……それは核の被害を見たのですか?」
「はい」
フラーは軍事顧問の他にも哲学や魔術に関する書籍を出しており転生に関しても話が分かる人である。
「最も前世の私が死んだ原因は核反応後の高濃度放射能汚染地域に居た事による被曝とされてます。前世戦中日本の科学や医学体制では分からず、米国政府も実戦で使ったのは廣島と長崎のみでした。この二カ所だけで自国の都市で核兵器が使われたら甚大な被害が及ぶ事は明白に……皮肉な物です」
「……ロモアラモスは砂漠地帯故に被害も限られましたが」
「核兵器は製造しないほうがいいのです、前世の第二次世界大戦後は米ソが核兵器をちらつかせながらも対立する冷戦がおきました。幸いにして核兵器を使わずに冷戦は終わりましたが核を持つ国は拡散し、米ソも自国が持つ核弾頭処理は国費をつぎ込む事になったといいます」

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