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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 95

日本軍はこの手の襲撃作戦は不慣れと思われがちだが情報さえあれば以外と恙無くこなせる一面もあり、ヒトラーのプライベート空間を暴くと言う大胆不敵な作戦には米英も仰天したと言う。丞一郎達は敵護衛部隊を次々と倒していく……今の段階で警報を鳴らされたら終わりだ、警報を鳴らざる得ない状況を作り出す時はこちらの仕掛けを自分達で作動させる。
「アメリカさんは上手ですな」
「首相府を襲撃するって言う噂もあったらしいがね……我が軍の防空戦闘が凄過ぎて尻すぼみしたらしい」
遠くで小規模の爆発音が聞こえ始めたが自家発電装置や防空レーダーの爆破の為だ。アメリカ軍の特殊部隊、後にデルタやグリーンペレ−の礎になる事は云うまでもない。
「西は付いてきているな?」
「ここに居ます!」
西 雅幸大尉はベルリン五輪にてグライダー競技で銀メダルを取った実績がある。当時の同盟国の贔屓目もあるがその腕前は高く海軍航空技研に置いて滑空の事なら彼に聞けと言うほど通じていた。しかも長野県出身とあってとびっきりの山男、親は陸軍士官である。
彼が何故海軍所属になったのは神奈川に居る伯父の影響と県民性から海への憧れが動機だ。滑空機研究に関与するようになったのは軍士官学校時代に同郷の幼馴染に研究会に引き込まれたのがきっかけである。登山による高所慣れと身体能力が遺憾なく発揮、今回の作戦に彼が呼ばれるのは当然である。
「ここが……」
「さしずめちょび髭伍長の個別美術館か……趣味が悪いですな」
「えすえむって言う奴か……変態趣味の一種だ」
隊員の一人に美術に教養があるのか写真を撮影する。シャンデリアに飾られた部屋の絵は西洋春画(エロ絵)ばかりだ。日本隊は山頂部にある山荘から出てロープを使って降下、事前情報により警備隊宿舎に睡眠ガス手留弾を投げ込む。
「アメリカ隊からです。地下通路を発見。現在盗聴中です」
「例の作戦は?」
「実行済みです、米軍きってのモノマネ名人が今頃撹乱してますよ」

アメリカ隊は地下通路にある電話線に野戦電話機を繋げ、ドイツ系アメリカ人士官がヒトラーのモノマネで撹乱したのだ。彼はヒトラーの記録映画を一日中見て口調や語気を知り尽くしておりその腕前はヒトラーそのものだ。
「リーダー、上手くやりましたね」
「ああ、爆薬足りるか?ジョージ」
「大丈夫、うちはダイマナイトが出来た時からの発破屋だ。全壊するには足りないが部屋一つ潰すには十分だ」
やがて日本隊と英国隊が合流し其々の爆破の専門家らは作戦室が潰れる用に仕掛けた。
「「「点火!」」」
其々の専門家はスイッチを押すと山頂の山荘が吹き飛び下にあった作戦室はがれきの山になった。後はヒトラーの生死を確認するのだが長居は出来ない……敵の中枢にはSSが一個師団が麓に常駐しておりこの爆破で普通の部隊も展開、其々の部隊は直ぐに空挺服を脱ぎナチスドイツ第三帝国軍の野戦服姿になる。そしてレジスタンスが用意したトラックでその場を去る。

途中でドイツ軍と遭遇するが混乱により日本隊ですら中東からの派遣部隊と勘違いした程だ。彼らはアルプスの山岳地帯を昇り時にはパラシュートで降下して無事に欧州から脱出に成功した。

これらの詳細は半世紀後に明らかになり日本、英国、米国政府はこの作戦に参加した士官とその遺族に国民に授与出来る最高位の勲章を授与している。


この混乱に乗じてロンメル率いる機甲部隊は戦線を離脱しシベリアを経て満州国に辿りついた。これには日本を初めとする米英の支援により最小限度の損失、即ち戦車を何台まで放棄を抑えるか……戦車は重装甲になればなるほど長距離移動は苦手であり、重量により通れるルートも限定される。ドイツ戦車は重装甲故に放棄せざる得ないケースが出て来る。しかしトロッキー率いる新ロシア共和国軍がシベリア鉄道を動員してウラジオストックへと機甲軍団を東へと送り届けられた事は幸いであった。
これにはWWUに置いて最も戦死者を出す事になる独ソ戦は共に全体主義で独裁者であった事が原因だが戦局が進むにつれ前線ではドイツ軍兵士の“投降”が相次いでいた。ロシアの冬季気候はかつてナポレオンの失脚を招いた事もある程厳しく、寒さに弱いドイツ兵は動きが鈍くなっていた。SSさえもロシアの地吹雪で遭難した事例も相次ぎウラル山脈要塞もソ連兵が撤退する際には重要個所を爆薬で潰しており再び拠点として使えるには時間を要していた。この事がベルリンがロンメル将軍らの亡命と言う事実確認を遅らせ、スターリンが失脚した今ソ連国民はトロッキーに運命を託するしかなかった。



日本帝国陸軍はロンメルらを手厚く保護、ロンメルらも自分らが持つ戦車に関する技術や戦術を教えており後世日本軍の戦車部隊の比重が増える事になる。加えてアメリカ陸軍流の空中支援戦術を取り入れ、情報ネットワークシステムを構築した。空中支援機にはヘリコプターが使用され対戦車戦術の要になる。

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