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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 94

それはアフリカ北部に中東に点在する親ナチス政権国家にあるナチスドイツ第三帝国軍の基地を一斉に襲撃、同時に米空軍は本来なら日本列島を空爆する為に用意していた戦略爆撃機を差し向け、日本海軍はこれに先立ち富嶽によるナチスドイツ第三帝国空軍のレーダーサイドに向けて精密爆撃を敢行した。全ては日米英の特殊部隊がヒトラーの本拠地である鷲の巣へと辿りつく為の陽動だ。
敢て前線を混乱させて情報を一気にベルリンに集中、全ての判断を仰ぐ為にベルリンから鷲の巣への通信回数が増大しており、レジスタンスが傍受して分かった事だが旧式の暗号文や平文で打電されたモノも確認された。複数のレジスタンスは日米の諜報部が解析した総統府専用の暗号文作成表から欺瞞情報を紛れ込ませる事に成功、混乱に拍車をかけた。鷲の巣はアルプス山脈に近い某リゾート地にあり、将来的には世界帝国の帝都するつもりであった。その場所は伏せられていたが日本軍の諜報部隊は物資の流れからその場所を絞り込む事に成功、目を付けたのはヒトラーが好きな洋菓子であり特にチョコレートには眼が無く、ドイツ本国だけでも複数のご贔屓銘柄がある。英国軍諜報部もヒトラーが台頭し始めた頃からドイツ系移民を使って潜り込ませる事に成功していた。
ナチスドイツ第三帝国諜報部はこの事に察していたが常に複数のルートが出来ているのと前線でのスパイ取り締まり活動に重点を置いていた事に加え、SS内部での権力闘争に利用されていた事もあり総統府の情報漏洩は止まらなかった。日英米による特殊空挺団の襲撃情報も欺瞞として頻繁に流しており本国部隊を翻弄、これは正規軍と総統府に近い軍部隊との亀裂を生んでいた。


「……ヒトラーの首でも取るのか?日本人?」
「……これだけは借金のカタに出すなって言われていた家宝だ、真相は知らんが家康から褒美として渡された短刀らしい」
「イエヤス?」
「お宅のペリー提督が来るまで続いた江戸幕府の初代将軍さ……」
空挺グライダーの席にて短刀を帯刀した日本兵に隣に居た米兵が訪ねると彼は言う。
「無くしても知らんぞ」
「時にはこれで切腹もした忌々しいモノでね……武士の時代が終わって一世紀も過ぎて血に飢えているだろうね」
因みに全て英語になっているのは橘らは敵国語であった英語教育にも力を入れ、そのノウハウや等級は英検として受け継がれる事になる。これはコミュニケーションを得るには敵国とは言えその言語を操れる兵士を出来るだけ揃えたいと言う橘らの思惑もあった。
「なるほどね」
「正直な、刀を所有するだけでも警察に届け出しないといけないからなぁ」
「テキサスじゃ警察に無断で銃を持っているぜ」
「アメリカンジョークかい」
機内に笑いが起こる。これから決死の襲撃作戦だ……下手するとヒトラーの暗殺すら出来ないかもしれないし全滅するかもしれない、グライダーに居る全員はそう思っていた。既に曳航していた富嶽三機から切り離され三機の軍用グライダーは鷲の巣へ向かっている。
「降下準備!」
班長が叫ぶ。
「日本人、生きて帰れたら酒で一杯やりたいな」
「ああ……コメの酒だがいいかい?」
「OK」
二人は言葉を交わすと機内から飛び降り、パイロット二名も最後に飛び降りた。グライダーは暫く飛んだ後に自爆する様になっている。残骸が殆ど残らないので発見には困難を極めるだろう。

空挺技術に関しては日本も劣らない、山岳走破も中々のモノで米英は最新鋭の機具提供して短期間で使いこなせた。陸軍空挺部隊の多くが山岳地域を持つ各県からの志願兵で日本アルプルや台湾の山脈での選抜テストを経て編成されたエリートだ。そして米英を驚かせたのが冬山登山に関する知識の多さだ。後世世界でも八甲田山遭難事故が起き、これを機に陸軍は冬山行軍に関する研究を開始していた。海軍とは気象とかの研究で協調しており橘らの政権奪取後は更に推し進められた。まさかヒトラーの宮殿を襲撃するとは思いもしなかっただろう……岳 丞一郎は闇夜の眼下に僅かな光を見て思う。
「(赤穂浪士の討ち入りかな)」
落下傘で降り立ち、素早く畳む。ここから脱出する際も数回使う事になるかもしれないのだ。隊長と部隊同僚も無事に降下した事を確認すると動き始める。彼らの武器は消音銃身付UZIと戦闘短剣(コンバットナイフ)に数個の手留弾。更に試作だが迫撃砲や対戦車ライフルも少ないが持ち込んでいた。

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