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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 93

幸いにも蒋介石を初めとする民主化グループは十分ナチスの危険性を認識しており日本の近代インフラ支援も受けておりとりあえず東へと進んでいるナチスドイツ第三帝国への備えは徐々にできつつあった。中華共産党も時期に消滅すると言う見方もあるが政治と戦乱はどう転ぶか分からないのだ。



ナチスドイツはロシア経由でアジア侵攻を試みるもウラル山脈要塞攻略戦に手間取り遂には反ヒトラー派の大物と目されるロンメル将軍とその配下を投入、総統府はウラル山脈要塞を陥落させた後に彼に反逆罪を被せる計画であった……だがそれは綻び始めていた。
急速に拡大した第三帝国植民地領は軍の官僚化を招いており正規軍は元より親ナチス政権軍の不正が後を絶つ事もなく、本来取り締まる立場のSSやゲシュタボも不正をする始末であった。更に中東に親ナチス政権が出来た事は日本にとって好都合、それはアラブ人に扮して移動出来るからであり、書類さえ偽装出来ればナチスドイツ第三帝国植民地領内を移動出来たのである。
「Mr.間宮、この情報は本当なんですね」
「はい、MI6にCIAも把握してます」
恐らく帝政ロシア時代に建てられた屋敷内にてロンメル将軍とその側近らは一人のスパイからの報告に同様していた。
「私が反ナチスであると受け止められない言動をした事は確かだ、最もそれは独裁が始まる前だが総統閣下にそんな理屈が通るとは思えない」
「しかし、直ぐにゲシュタボやSSが来るぞ」
側近の一人が言うと間宮は言う。
「我が国を含めた三ヶ国で陽動作戦を展開、これは我が国だけじゃ難しい所もありまして米国の参加でめどが経ちました」
作戦の大まかな説明を聞いたロンメルらは唖然とした。
「原子爆弾を使用したと見せかけるのか……ロモアラモスの様な巨大なキノコ雲を作れるのか?」
「気化爆弾なら可能だ、我が国も研究こそしていたが技術者が逃げてしまったようだよ」
「当たりです、ただ我が国の高度爆撃機は数えるほどしかないので」
「なるほど……これを考えた策士の名は?」
「大まかな概要は葵川 吉宗海軍中将の提案と聞いてます」
「やはりか」
ロンメルは後に彼が陸軍将校であればドイツは早い時期に負けていたかもしれないと語っている。ロンメルは独自のルートで極光艦隊の動向を把握しておりその総司令官を高く評価していた。
ロンメル自身はヒトラーに反逆する意志こそ無いが彼の思想に心酔している訳でもない。むしろ彼を支える側近らはヒトラーの危険性を認識しており何れにせよ自分の上官であるロンメルが反ヒトラーの旗印にされる危険性を認識していた。
「脱出ルートに関しては以下の通りです」
「厳しいな、状況次第では戦車の何割かを放棄する覚悟がいりますな」
戦車は自身の長距離移動には向いてない、長距離での移動はトラックや鉄道を使うのが鉄則。しかもドイツ戦車は重装甲故にクローラーを初めとする足回りにトラブルが出る確率が高いのだ。戦後世界では装輪戦車と言う選択肢も出て来るのも戦車故の短所が解決できないのと自動車技術や航空機技術の発達した理由からである。
「だが、やらなければならない」
ロンメルは一将校として祖国の暴走を止める決意を込めて告げた。
アメリカやイギリスにとってドイツ人の反ナチスのシンボルを探しており、知名度や実力から見てもロンメルしかいなかったが接触は困難を極めた。SSやゲシュタボもロンメルを餌にしてレジスタンスを誘き寄せるので犠牲も馬鹿にならない。ソ連軍は完全に力押しでとてもじゃないが協力を望めない状況、そんな中中東人に化けて陣中深く潜入した間宮弥三郎少佐とインドを中心にした回教義勇兵らによりロンメルの説得を成功させた事は大きい。


間宮らによる巧みな情報戦は見事に後続に居たSSやゲシュタボにスターリンが複数の影武者が居ると信じ込ませ、要塞攻略戦の仕上げを彼らに任せロンメルらは追撃戦に入る。ほぼ同時に英国某所にて富嶽三機は其々英国飛行艇動力グライダーを曳いて離水する。そして極光艦隊と米国大西洋艦隊は大陽動作戦を展開するのである。

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