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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 92

ドイツの電撃戦はフランス本土海軍の展開を凌駕しており、フランス本土海軍は脱出しアメリカに辿りつくも戦艦二隻は旧式化が激しく空母に至っては自国開発の艦載機すら無い有り様である。日本政府が音頭を取り連合加盟国の支援でハワイにて大規模近代化改修をしている。だが当初は脱出出来た艦艇はかなりの数があったのだがイギリス海軍はフランス海軍艦艇がドイツの手に渡る事を恐れて海戦へと発展、メルセルケビール海戦と語り継がれ、これがフランスに連合国に対する軋轢を産み結果親ナチスドイツ第三帝国政権“ヴィジーフランス”の誕生するきっかけを作ってしまった。だがこうでもしなければ英国はナチスに蹂躙されていたかもしれないのだ。ドゴール取ってこれは究め付けの遺恨そのものだ。日本政府もここら辺の事は知っており戦艦一隻の提供も考えていた訳だ。

「先のトールマンハンマー要塞への攻略には自由フランスの国内戦線隊の存在も大きかったですから、軍部も納得はしているでしょう」
「うむ……そのお礼に戦艦一隻ではあちらさんも恐縮してほしいもんだがね」
「無理でしょうな……アスパラガス将軍には」
副長は笑いながらも葵川と共にジャンヌダルクを見ていた。アスパラガス将軍とはドゴール将軍の仇名であり大変背が高い事から言われていた。


自由フランス海軍にとって国外でのドイツ軍との戦闘は意義がある。アフリカや中東には資源がある……その資源がある勢力圏からナチスを追い出せば戦局は好転するからだ。
戦術的には理が適っているがそれを実行するには本国から脱出したフランス海軍がどうしても必要であったのだがイギリスの判断の誤まり(フランス側から見れば)によりその数は余りにも少なく、ドゴール将軍も国内に居る他のレジスタンスに示しがつかない、焦りが見えていたのだ。
「しかし今後はどうするのですか?」
「うむ、この事に関してだが米国に移住したドイツやイタリア系国民を充てる腹らしい」
「……正気ですか?」
「彼らだって指銜えている訳でもないが米軍もおいそれと戦力を加える訳でもない、そこで植民地からでも戦力が足りない自由フランスに充てる。アスパラガス将軍は渋々承諾しているそうだよ」
「なんともなぁ」
船長は苦笑するしかない、トルーマン大統領もさぞかしため息を漏らしているだろう。最も我が国の首相も色々と国内外で問題を抱えているので他人事じゃない。
国内では未だにドイツとイタリアと手を組んで米英蘭仏を討つべきと言う頓珍漢な主張をする者もいて国会議員の中にもこの様な主張をする輩もいると言う。何れもナチスドイツのファシスト主義の本質を見抜いてない無能者に過ぎない。しかし来年から施行される新憲法による新選挙制度では民意に基いた合法的に駆逐出来る。今までは世襲制度であった議員の多くは勉強を強いられる訳だ。
国外ではやはり朝鮮半島と中国問題が一番の頭痛の種である。満州国を初めとするアジア各国は日本の近代インフラ支援により近代化を少しずつ進めているが朝鮮半島は未だに抗日運動が収まらない。
抗日運動と言っても日韓併合以降、即ち1910年からの統計を見ても全世界に報道された大きな事件さえも起きてない……多くが組織間の内紛で日本陸軍の軍警察により摘発されているからだ。これは朝鮮人の中には度重なる戦乱に霹靂して外部からの手を借りて近代化するやり方が一番手っ取り早いと言う考えも広がっており、ナチスドイツの様な全体主義になればアジア各国のみならず世界中から孤立、戦後にどうなるかも予想がつかない。それに自分達の祖国には戦略的資源が無い事も彼らには分かっていた。抗日運動が収まらないのは単に扇動者は自分が“王”になりたいだけである。彼らは世界の流れから取り残された哀れな反逆者でもある。中国大陸は共産党の内紛が激化しており蒋介石は着実に台湾共和国を本拠地に日本同様に資本民主主義を中国大陸に広げ、漢民族に虐げられていた少数民族も味方につけ、将来的には中華民国として日本や欧米各国に認めてもらう計画だ。中国にナチスドイツが侵略すれば取り返しがつかない損害を与える。文化そのものを破壊するからだ……。

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