「共産党政治に失望しての政治亡命が大半です」
「日本は確か」
「今は共産党は非合法政党ですが来年度に施行される新憲法では参政権を与え、成人女性を含めての国民一人一人が判断します」
「なるほど」
「無論選挙法も改正しますが不正行為に関しては選挙制度の信頼性を著しく損ない、有権者を蔑ろにしての当選者には連座制により議員資格剥奪、刑確定から五年間は立候補資格停止に。運動員も選挙活動資格を五年間停止させます」
「厳しいですな」
「一重に第二のナチスを産み出さない為です、今準備期間として全国各地の学校や公民館で新憲法や選挙制度に関して国民に説明をしてます」
「素晴らしいですな」
「何れは亜細亜各国にも広がるでしょう、そうすれば米国にある各企業も進出しやすくなり、我が国や英国の独占と言う状況も改善、競争原理が維持出来るのです」
「問題なのは朝鮮半島ですな？」
「はい、知っての通り我が国と併合してましたがクーデター後は満州国自治領として満州国と共に独立、来年には高麗共和国として建国する運びになってます」
「未だに日本への抵抗運動があると言うのは、情報部を介して知ってます」
「今の自治政府は親日派、即ち祖国を売り物にした売国奴です。確かに併合時代は抵抗運動もありましたが何れも制圧、今の抗日派は近代化支援の為に善意で来ている各種専門家すらターゲットにしてます。まあ見せかけの独立と窺うのも無理はありません」
「朝鮮半島にナチス政権若しくは共産党政権の樹立は阻止すべきとして思想の流入は防いでます。幸いにも今の自治政府の面々は日本にて不熟成ながらも民主政権を見て来た面々、国民が豊かになればこの様な思想は出てこない筈です」
「なるほど、日本との併合に至ったのはそもそも李氏朝鮮王朝が近代化に乗り遅れた……併合しなければ我がアメリカか他の列強が併合していた」
キーガンの言葉通りである、日本にとって不凍港を狙うロシアが朝鮮半島を併合すれば脅威に曝される。近代化して間もない日本は当然他の列強と手を組む事になるが下手すると植民地化されかねないのだ。日露戦争を良い条件で終わらせた事事態奇跡と言っても過言ではない。李氏朝鮮にも日本の明治維新の様な大規模な構造改革が達成していれば朝鮮半島は独立が保持出来た可能性はある、タイ王国も地理的要因を利用してロイヤルファミリーが近代化を進めた結果独立を維持できた事を思えば李氏朝鮮王朝の責任は重く、日本も近代化がストップしていれば朝鮮半島の様になっていただろう。ソ連になっても不凍港への憧れは強くなっている事に変わりはない。
「失礼します、夕食をおもちしました」
下士官らが敬礼すると同時に二人の鼻は香ばしい匂いを察知した。
「ほう今日はカリーライスですか」
「我が海軍は金曜日の夕食はカリーライスになってます。艦によってレシピは異なります」
「身近な秘密事項と言う事ですな」
二人は夕食をとりつつも談笑した。



翌日、自由フランス海軍総旗艦ジャンヌダルクは航空輸送艦ベアルンと合流した。
「ＹＡＭＡＴＯ級二番艦ＭＵＳＡＳＩですな……今はジャンヌダルクか」
アメリカは自由フランスを支援するにはナチスドイツ第三帝国と敵対するフランスのレジスタンス事情がある。ハッキリ言えば一枚岩ではなく共産主義に社会主義、共和主義者と言った政治的思想を持つ者から占領下での強制労働を拒絶した若者までおり、パリを解放した者こそ戦後フランスがどの国家思想を決める。自由フランスを率いるドゴールは共和主義者であり米国にとっては都合が良い人物であった。
同時に扱いづらい人物であったが戦後フランスが共産主義にならないためにも彼を支援する必要があり、自由フランスはパリ解放に繋がる事の第一歩として大西洋で暴れまくるＵボートを初めとするドイツ海軍との戦闘が出来る戦艦を探していた所にビックセブンを凌ぐＹＡＭＡＴＯ級の譲渡、米国はドゴールを支持していると言う事だ。トルーマンはルーズベルト同様、ドゴールはあんまり好ましくないと思っているらしいが彼に変わる英雄が居ないのも事実だ。
「一応対潜機能は拡充しているが駆逐艦との連動を視野に入れているからなぁ」
自由フランス海軍の駆逐艦は米国からの供給である。