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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 10

数日後、後世世界初の斜め飛行甲版空母となっている鳳翔に高速回転機銃装置を搭載した銃座が設置された。かなり小型で発着は困難を極めていたが着艦に関しては斜め飛行甲版のお陰で幾分楽になる……とは言えこれを墳進機で着艦するのは飛行士達は困難である事は知っていた。墳進機は縮小遠隔操作モデルでの試験飛行が始まったがその制動距離はレシプロとは比べ物にならない……海軍飛行士の中にはこの空母に着艦出来ないのではないかと言う言葉さえも聞こえる……そんな中設置されたのが高速回転機銃装置銃座である。
「ちゃんと標的にあてるんでしょうね?」
飛行士はため息を出しつつも馴染みの同期技師が言う。
「大丈夫だ、射手は開発段階からかかわっている腕利きだ、それに横須賀遊郭でも悶着で軍法会議に行きを止めた貸しは返してもらうぞ」
零戦は多目的支援戦闘機に改修、しかも超強度合板と呼ばれる木材加工や防腐/塗装技術の確立より金属機体並に強くしかも磁気探知が難しくなり木零と呼ばれ機、南方では無類の強さを誇る、元は掃海艇開発の為に海軍縁の専門家が開発していたが航空機に転用したのは全くの思いつきである。
恐ろしい事だが掃海艇は機雷処理の為には極力磁力を発しない様にする必要がある……研究次第では石油から出来る合成樹脂製船体も選択肢になるが石油が微々たる量しか採掘出来ない本土を考えるとある程度量が確保できる木材に眼を付けるのは当然な成り行きだ。船体に出来るのなら航空機にも出来る筈……そこで零戦の材質変更されたのである。
「じゃあやりますか」
飛行士はため息を付きつつも風防を閉める……エンジンスロットを上げ、カタパルト要員が合図をする。この空母は第二次改修の際に蒸気カタパルトを設置、その為に缶を新型に換装した。まあ爆発事故を起こしても損失が少ないのがこの空母だ。
なので墳進機の試験運用母艦予定と言うが現段階では海軍飛行競技隊借母艦として運用している。標的機を飛ばす役目を請け負ったこの飛行士もその一人であり先の真珠湾攻略戦でも多大なる戦果をあげるも部隊内祝勝会の二次会となった横須賀遊郭にて将校クラスと女の取り合いになり一悶着を起こした。偶々居合わせた技術将校の取り計らいでここに栄転されたのである。機体は一気に離陸可能速度に達して木零はエンジン音を響かせて飛ぶ。
「それにしても……あれでいいのかね……」
本来は爆弾や魚雷が装着される胴体ラックには墳進弾の飛行試験モデルを流用した標的があり、ラックを外すと滑空飛行を始めた。
前の方には同じ航空隊に所属する木零により曳かれている標的が飛んでいる。
『うちかたはじめ!』
無線機の声と同時に彼は眼を丸くした標的が跡形も無く分解したのである。
「これが高速回転銃身砲かよ……」
これは航空機にとっては脅威だ……高射角砲よりも被弾する確率が跳ね上がる。飛行士の直感だ。
「……これからの時代は機銃は何処まで通用するかだな」
彼は通信機がONになっている事も忘れて呟いた。


鳳翔はそのまま日本本土領海内への巡航任務へと入り、領海内をパトロールする。陽炎型駆逐艦数隻と合流して北上する……
米海軍はアラスカダッチハーバーを拠点にした新太平洋航空艦隊を編成、他にもサンディエコ軍港では空母を旗艦とする新機軸艦隊を編成している。アリューシャン列島を伝えば日本への進行も可能だが航空機に関しては開発体制が整ってない……これらの情報は何らかの理由で収容所送りを免れた日系移民らが情報を提供している。何よりもその情報網は独逸、伊太利系移民らも関与している……祖国のファシスト化に心を痛めていたが日本が侵略国家から解放国家に変異した時に彼らも日本に望みを託しているのだ。無論亜米利加政府にばれたら銃殺されてもおかしくないがそれでも協力する価値はある。移民の中には先の世界大戦で肉親を亡くした者も少なくは無い。

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