PiPi's World 投稿小説

戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

の最初へ
 86
 88
の最後へ

戦艦空母艦隊 88

駆けつけたア号潜と米軍のオクトパス級潜水艦は独逸軍機が沈まない様に船体に固定、その間に独逸軍の艦艇や戦闘機を警戒して燃料が許す限り警戒へと入る。僅か講和条約締結して一週間で日米が連携出来たのは一重に英国や極東エレサイムの仲介によるものだ。この独逸軍機捕獲も言わずと連携出来るのもその一例である。



ノーチラスは北上し新型Uボートが辿った推定出来る航路へと進路を変える。ネモは北極海へと向かう……やり過ごす事も考えられるからだ。
「艦長、前方に複数の衝突音」
潜望鏡をあげると捕鯨用のブイが波間に浮かんでいた。
「やったぜ、魚雷室全発射管に魚雷装填。バラクーダだ」
亜米利加海軍も酸素魚雷を開発に成功していたが太平洋戦線では使用を控えていた。



ハワイ奪還作戦に備えてのペンタゴンの判断と言われているが真実は定かではない。そのお陰でノーチラスとネモの為にありったけの酸素魚雷“バラクーダ”に加えてワルター機関魚雷“ロンギレス”が搭載されている。ノーチラスの魚雷発射管六基にバラクーダが装填、注水された後に言う。
「一番二番、三番をスイムアウト、残りは通常発射」
スイムアウトとは魚雷のみの推進力で発射する事、通常は圧縮空気で推し出して加速させるがその音が敵潜に悟られる恐れもある。艦長は時間差攻撃を仕掛けたのである。
「一番二番三番はロンギレス装填急げ」
副長が復唱し魚雷室には米海軍の潜水艦部隊から選抜された猛者達が作業を進める。
「機関室長、原子炉はどうだ!」
艦内電話を取るなり言う。
「すこぶる順調、まだまだいけます」
「艦長、敵潜から魚雷発射確認、数8!」
「デコイ発射!取舵一杯!」
其々の魚雷が交差する……Uボートの魚雷は近接信管だったらしく一つが誤作動して海中に爆発音と大きな揺れを齎す。
「急速潜航、ギリギリまで潜れ!手が空いている者はダメコンの補助に回れ!ソナー」
「クリアです、敵潜推進音……浮上を試みます」
「魚雷室、ロンギレスを全弾発射!」
Uボートにはバラクーダが命中しており手に負えないと判断したのか浮上を試みたがバラクーダよりも速いロンギレス三本は命中し、船体はまっ二つになり海中へと沈んだ。
「撃沈確認です」
「そうか……」
艦長は同じ潜水艦乗りとしてUボートの乗務員を思うとやり切れない感じになる。

しかし、これが戦争なのだ。


ナチス独逸第三帝国海軍省の省内は部隊の連絡途絶に否が応でも緊張していた。
「総統閣下はなんと」
「広報部の役者で代用するさ、想定内だ。むしろホワイトハウス爆撃が何故漏れたのかそれが問題だ」
海軍大臣はそう告げると側近らは言う。
「先のベルリン空襲の際に総統府の総統閣下執務室に工作員が侵入した噂があるのですが」
「それは真実だ……メモが数枚無くなっていた」
「!!!」
「MI6やCIAの線もあるが日本軍の諜報機関と個人的には思っている」
「東のサルがそこまで」
「彼らは欧米に並ぶ近代化を成し遂げたのは程度の諜報活動を糧にする者が居る証拠だよ……」
「はぁ……」
「更に移民の中にそんな者を紛れ込ませる事も出来るからな」
側近の一人は納得した表情を見せる。
「今回のホワイトハウス爆撃は却って米国国民の団結を促す事になった、悪い事にシンパや海外秘密党員も一網打尽されたそうだよ」
NYタイムズには崩壊したホワイトハウス前で演説するトルーマン大統領の写真がでかでかと掲載されていた。

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す