PiPi's World 投稿小説

戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

の最初へ
 79
 81
の最後へ

戦艦空母艦隊 81

「そう言えば教官は未だに現場に出ているそうだな」
「畝傍で艦長を務めているそうです、副長が優秀で自分の出番はもっぱら補給関連交渉位と愚痴こぼしてました」
元気があり過ぎるのも困るが百戦錬磨の老練なら話は別、それにしても畝傍(二代目)はあのまま女性士官で運用を通すつもりらしい。


畝傍は修理が終わり、安将丸と共に印度洋に置ける独逸商船航路遮断活動を再開。松型駆逐艦二隻を追加配備、前回の様なケースでは最悪の事態になった事も考えての処置である。
「海松と空松も異常ありません」
「あの二人を押しつけるとは……ふう」
何時ものは物静かな天海艦長は副長である九鬼の報告を受けるなり言う。
「艦長は海松と空松の艦長を存じているんですか?」
「ああ、印象に残っているよ……任官後も色々としてなぁ、順調に行けば大和級の船長にもなっていた人材だよ」
「はぁ……」
「軍人としては葵川にも劣らない資質を持っているから安心しろ」
不安になる九鬼を察して天海はフォローに入った。
「葵川司令官がガーター勲章を受章か、凄いですね」
「あ奴の事だ、あんまり大げさに扱うなと言っているのだろう……だが功績はそれだけデカイと言う事だ、しかし軍人とは生き残るのが第一だ。手柄は二の次だ」
「はい」
「電探に反応、IFF反応敵判定」
九鬼が双眼鏡を見ると独逸軍高度爆撃機の機影が見え、何かを投下した。
「偵察機?いや飛行爆弾!」
安将丸を正規空母と勘違いしたのか攻撃してきた。
「安将丸の航空機全機緊急発進!海松、空松に個別迎撃許可!」
「畝傍は安将丸の盾にします、全乗務員救命浮上半纏着衣!機関最大出力、煙幕展開!」
畝傍(二代目)が弾幕を張るも飛行誘導弾が回避する……やはりあの高度爆撃機からのコントール、幻龍同様の戦術や戦法を使ってくるとは、天海艦長は言う。
「亜細亜派遣艦隊に連絡、通常電報だ。ワレ敵飛行爆弾の攻撃ニチョクメン、警戒されたシ」
「はい!」
煙幕を安将丸周辺を囲うも海風の影響からか中々船体を隠せない。安将丸の艦載機では無理だ。
「海松と空松が盾になる気です!」
「いかん!二人とも無茶をするな!」
だが飛行誘導弾は二隻をかいくぐり安将丸へと向かう。
「安将丸の乗務員に救命浮上半纏を着衣を」
畝傍(二代目)も金属箔や火の玉を射出するも反応はしない、やはり無線誘導。その瞬間無線誘導弾がふらつき迷走を始めた。
そして飛行誘導弾はそのまま煙幕を突き抜けて海面に激突し爆発した。
「敵機体が急降下……エンジン被弾、墜落する」
実は偶然にも極光艦隊に属する飛行艇が独逸空軍高度爆撃機を発見、機銃掃射により敵機発動機を炎上させる事に成功するも味方飛行艇も発動機を打ち抜かれておりふらついて降下してくる。
「各艦乗務員救助体制!」
味方飛行艇は何とか安将丸の航跡で着水、敵高度爆撃機はそのまま墜落した。
高度爆撃機の場合は状況次第だが落下傘で降下出来る事がある。幾ら南国の印度洋でも漂流は危険であり、ましてやランドパワー国家の空軍なら海に対する畏怖は日本とは異なるが生命の危険である事は変わりはない。問題はこの四隻だけで脱出したのか分からない敵国航空士を探す事は困難を極める。
「空戦して飛行艇の機長の証言を鑑みて海流地図から見てこの辺り」
航海長がチョークで印をつける。
「飛行艇の機長が言うには落下傘は確認してないって言うけど……」
例え敵国兵士でも家族や大事な人がいる、それが遺体になっても回収して弔う事になっても……九鬼は祈るような気持ちになる。
「敵爆撃機残骸確認」
「回収して」
「主翼もですか?」
「安将丸のデリックと畝傍(二代目)のデリックで共釣出来るかも知れないわね」
主翼が浮上しているのはエンジンとの接合部分が外れていたからだ。残骸一つでも手に入れる事は相手の力量を図り知れる事がある。

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す