PiPi's World 投稿小説

戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

の最初へ
 76
 78
の最後へ

戦艦空母艦隊 78

その大きさは全長300mを超し、装甲斜め飛行甲板に両舷エレベーターを四基揃え可動式煙突を持っており対独逸戦を想定した設計になっていると言う。両舷エレベーターは戦車も搭載しても昇降出来る用にしており戦車や貨物自動車も搭載できる用に設計されている。これは戦場がますます機械化が進むと想定しても設計である。
「情報によれば同型艦が一隻あると云う事ですよ」
「あちらさんは物量がお家芸だがシンボルも建造するんですね」
「うむ、第二パナマが大きいからな」
第二パナマとは正式名称は第二パナマ運河要塞であり、第一パナマ運河が閘門式に対し第二パナマは地中を貫くトンネル運河である。写真によると楽々と大型貨物船や空母が通れる事から相当な大きさだ。
「望遠レンズによる撮影した写真とよくわかりますな……」
前世では船舶サイズは最大でパナマ運河に通過できるサイズに留まっていたが第二パナマの登場により船舶の大型化は拍車がかかる可能性もある。戦後に第二パナマが民間にも開放されるか否かで……。
「ユナイテットステーツの来訪、チャーチル氏が仕掛けたかもしれないな」
「!」
「あの男は英国王室を残すのなら何でもする愛国者だ」
葵川の言葉に船長は言葉を失ったが彼の説明は怖ろしいほど利に適っている個所が多い。
「ハ号誘導墳進ロ号弾頭弾による攻撃は予想以上ですな、どうも緘口令で事故となっているそうですよ」
情報将校が艦橋にある展望台に姿を見せる。
「噂の円盤航空機が良く出現するので警戒はしてましたが……どうも防空基地も併設されていたそうです」
やはりそうか……葵川は主砲砲弾による攻撃も考えていたが謎の円盤機が出現すると言う情報を知った時に彼は出現個所の詳細を求めたのである。結果的に首都の伯林(ベルリン)や大規模レーダーサイド、複数の別荘地上空にも出現しトールマンハンマー要塞周辺にも出没していた。
「井伊大佐には辛い思いをさせたな……」
「いえ、誇りに思います……中将」
「おお、井伊大佐。この度の任務ご苦労であったな」
太秦を襲った列車胞の砲弾は船内内部に衝撃吸収発砲液でも相殺しきれずに船底を貫通、その際内部にあった多数の弾頭が動き大爆発を起し更にロ号弾頭が同時多数作動した事による爆風による高波を受け浸水、巨大木造戦艦はドーバー海峡へと沈んだのである。太秦は戦後の公式記録では飛鳥型二番艦長岡と発表、照和末期の戦時下機密情報法廃止により本当の艦名が明かされるまでミステリアスな戦艦として国内外の専門家を惑わせた。
「乗務員一同無事に脱出出来ました……これも英国の同盟が無ければ不可能でした」
「うむ、しかし勲章が授与出来ない事は」
「中将、私は大丈夫ですよ」
実際、太秦の乗務員はその後は日本海軍の各艦隊に分散。井伊達を含めた乗務員らは死後に日英両政府から遺族に勲章が授与されたと言う。


日本近海……その巨体を悠々と海原を進む建御雷は周辺に三笠型航空海防艦を従え旗艦直衛戦艦になった大和の後方に付けていた。
「今頃葵川も困っているだろうなぁ」
織田司令官はかつての旗艦である大和を見つつも言う。
「困るって言うのは」
「あいつはあんまり政治には関わりたくないんだよ……それが英国女王陛下直々にガーター勲章を授けられたから、あいつの地元じゃお祭り騒ぎで、政治家への転身すると思っているらしい」
「しかし今度の憲法では退職して五年は参政権は与えられないとなってますが」
「どのみちあいつは政治家になる気はない、政治家に必要な広い視野と明確な行動力があり、そして伯が付いたのになぁ」
織田は彼とは直接的に面識が無いが士官学校の同期で成績面から何かと注目していた。常に成績上位五人に入っているし卒業後も現場でも評判が良く、嫁もそれなりによい所のお家である。ただ不正には黙ってはない性格でこの事で一時期は出世コースから外れ彼も暇を持て余して大学に通い始めたと聞いた時には仰天したのである。
「(それは米国との戦争を睨んで大学生を知る為に……考え過ぎかな)」
しかし、井伊善次郎大佐の様な逸材が発掘できたのも葵川のお陰だ。

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す