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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 77

授与されたガーター勲章の意味を葵川はこう捉えていたのである。
「そこまでするのは……この英国がヒトラーの手に渡れば取り返しがつかない事態になるのです」
「アメリカ合衆国との講和は重要だが、トルーマン大統領は未だに決断しない。チェンバレンといい勝負だ」
同席したチャーチル元首相も何かと働きかけているが……芳しくなく、女王陛下が居なかったら手持ちの葉巻を吸いつくすだろう。一行は装甲空母謙信へと乗り込み、艦内を案内する担当将校が出迎える。
「日本国がこの様な軍艦を建造出来たのは明治から近代化援助してくれた英国のお陰です……」
「アークロイヤルは日本で建造されたと窺ってますが……」
「恩返しです、恩師から受けた恩は一生涯忘れません」

葵川の言葉は騎士道にも通じる。マーガレット一世らは深く心に響いた。
「この先は医務室ですが……今経過観察の航空士がおりまして、お見苦しい所もありまして」
「かまいません、先の作戦行動時にはこの艦隊からも航空機攻撃した事は窺ってます」
「心使い感謝します」
医務室のドアを開けると頭部に包帯を巻かれた航空士が寝ており、相棒だろうか心配そうな顔をした同僚がベットの傍にいた。
「あっ!」
敬礼すると葵川は尋ねる。
「確かレーダーサイド攻撃の際に砲弾が至近距離で爆発したそうだな」
「はい……雷隼でなければ私もこの場には」
葵川は英語で説明するとマーガレット一世は寝ている同僚にねぎらいの言葉をかけた。
「彼ならきっとよくなります」
この言葉だけでも十分であった。


一方、伯林では前海軍大臣とその側近らの即刻死刑執行し海軍大臣は総統府に出向していた技師将校マインフェルト.ライコネンがそのまま後釜に収まる形になる。
「自分は艦艇設計しか能が無い男だ、いきなりの人事に戸惑っているが貴方達の知恵を借りたい」
「……」
いきなり何を言い出すのか海軍の中枢に居た将校らは唖然とした。
「海軍は当面の間地中海と紅海のガスルートを死守しつつもマダガスカル島への補給ルートを維持、大西洋に関してはUボートと海上艦隊との連携を絶対条件にしてくれ」
「極光艦隊への攻撃は」
「現時点では無理だ、これは相当閣下にもご理解してくれた」
よくあんな海軍音痴を分からせたなとその場に居た全員は唖然とした。
「ホルスXは結局出せませんでしたね」
「許可が下りた途端に部隊は音信不通で、補給担当の鉄道輸送大隊からの報告で要塞大炎上、だからトールマンハンマー要塞に置いておくのはあれほど危険と言っていたのに……」
「あれは気化爆弾ではないのかと言う話もあるそうですが」
「X弾頭が?」
「陸軍も開発を進めていたが原子爆弾関連で予算を取られているから基礎研究が細々としている程度、最も発起人は日本に亡命しちゃったからなぁ」
マインフェルトの友人にして同僚である男は要塞消滅後の現場写真を見てそう思ったらしい。
「最悪だな」
「原子爆弾の研究に関しては今後は数か所に分散して縮小するらしい」
「我が海軍が不甲斐ないばかりに」
「それは海軍の責任ではない、総統府に居る将校らの責任だ」
マインフェルトはため息をつくと思う、日本軍は上手く立ちまわっているな。



極光艦隊は当面の間は英国と亜細亜各国を結ぶ戦略資源航路を死守する任務に就く事になり、事実上英国が取りなす形で亜米利加大西洋艦隊との共同戦線を取る事になる
「あれがユナイテットステーツか」
「デカイ」
ユナイテットステーツもこの泊地へと来た理由はマーガレット一世の招きであった。
「我が国の建御雷(たけみかずち)と大体同じですな」
建御雷とは紀伊型戦艦の船体を流用した戦略防衛大型空母であり、極光艦隊出港と同時に八八艦隊の二代目総旗艦として運用を開始した空母、葵川は一回しか見た事はないが印象には残っている。

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