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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 74

共産主義は後世世界でも“平等を装った独裁政治”と言うイメージが強く、諸外国の企業家は共産化を恐れているので資本主義政治家を支援する訳だ。アメリカもソ連を助けると言うよりはロシアの資本主義政権樹立を誘導する為に動いている可能すらある。
「対潜警戒を怠るな……ドイツのUボートは手ごわいぞ」
「了解です」
艦長の言葉に副長は頷く、対潜警戒には若宮型水上機母艦をチャオプラヤー級水上機母艦に狩鷹を使用している他にも戦前に欧州から購入した軍用飛行艇まで使用している。先日の印度洋や太平洋にUボートの大量拿捕されたケースを考えるとこの湾内にUボートがまだ居る可能性すらある。日本のア号潜にイ号潜も動員するにも限度がある……アメリカが講和に応じるのも時間の問題だ。アメリカも対欧州線を考慮すれば印度洋での軍展開もしたいが日本との交戦状態である現段階では無理である。

しかし、太平洋戦線は布哇を境にして膠着。太平洋戦線に配備された米軍部隊らは米沿岸と200海里圏内の死守に回り日本軍の上陸に備えていると言う。最も今の日本軍は米本土に攻め込もうとはしてない、開戦前に陸軍首脳陣に米本土制圧戦を考案した頓珍漢が居たが橘は豊臣秀吉の朝鮮出兵を例にして無謀性を指摘、寧ろ南洋諸島群と亜細亜解放/近代化政策案を提示し日本の国益を得るには後進国や植民地化した亜細亜各国を近代化した方が得と説得したのである。支配者ではなく国を発展させ国民にも恩恵を与える協力者となる、日本の戦後を見据えた戦略である。泰王国海軍近代化は正しくその一例である。
「猟師1より連絡、感アリです」
「慌てるなよ!識別急げ」
「猟師1、識別用警告爆雷、深度30にセットして投下!」
対潜哨戒戦闘には未熟な亜細亜各国海軍は日英の潜水艦やユ号潜の誤認攻撃を防ぐ為に警告深度爆雷を作動させる、友軍潜水艦ならその深度まで上昇し潜望鏡で確認した後に暗号文で通信する様にしているのだ。
「対象変わらず……更に潜ります」
敵潜も必死に逃げる。
「完全に舐めきってますな」
船長の部下である参謀の言葉にも分かる。
「猟師1より、入電……圧壊音感知同時に気砲と油、多数の浮遊物を確認」
「深く潜り過ぎたのだろう……」
「ですが、少しの間なら限界深度でも直ぐには……まさか」
「技術者の育成が間に合ってないかもしれんな」
教官役の日本海軍将校は前世の記憶を持っている一人であり、今の時期は敗戦へと転がり始めた。だが後世では亜米利加との講和条約交渉までこぎ着けた事ですら上出来過ぎる。
「事故海域の座標を記録」
「はい」
もしかすると米軍かもしれない……あちらも必死なのだ。
タイ王国海軍も他人事ではない日本製の潜水艦四隻に先日拿捕されたU−209潜、計五隻を要しこれは日本帝国海軍に次いで亜細亜二国目の潜水艦運用国に将来なる事を意味している。軍事作戦を執るのは乗務員の訓練やら整備体制構築まで数年は要するが日本を除けば最も多くの潜水艦を保有している。
「葵川中将の策が追い詰めているのなら……」
だが相手は独裁者、しかも生い立ちから歪んだ精神を奥に秘めている。その為に無茶が生じ末端でその弊害が国民に回っているのなら……彼は深く考えた。


その頃、ナチス独逸第三帝国の庭先まで迫る飛鳥……瓜二つの太秦はただ一隻で航行していた。海軍も空軍もボロボロな状態で列車胞の射程距離内に入る海域を航行すれば……陸軍がしゃしゃり出るだろう。
ナチス独逸第三帝国は英国本土を陥落させる為に空襲を繰り返すも、亜米利加合衆国から支援を受けた英国空軍は制空圏を死守、そこで迎撃不可能の砲弾による攻撃をする為に列車胞を集めた要塞が構築された。英国や米国も空襲を試みるも空軍や独逸建築の堅牢なトンネル建築により被害も微々たるものだ。無論工作員よる破壊工作も数回実施するも列車胞による攻撃は止む事はなかった。葵川はロ号弾頭を使うしかないが列車胞を引きずり出すには普通の戦艦では難しい……そんな中飛鳥の実物大模型を見てこいつを囮にする事にした。無論技術者や技師将校は唖然としたが策はこれしかない。こんな前代未聞危険極め付けの戦艦を任されたのは葵川の同級生にして一番弟子と自称する男が任された。

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