PiPi's World 投稿小説

戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

の最初へ
 70
 72
の最後へ

戦艦空母艦隊 72

空母には爆装した艦載機が射出寸前の所で敵機が出現、しかも護衛の駆逐艦が雷撃された事で陣形が乱れ味方艦同士が衝突する事態を引き起こしていた。空母に衝突し甲板上にあった艦載機が海に落下すると言う事態すら起きていたのである。更に後方に居た空母群は伊太利亜隊であったが独逸隊の救援要請に艦載機を急遽艦隊攻撃から艦隊防衛に変更する事態を引き起こし空母運用に錬度が低い伊太利亜海軍は後手に回り、その上旗艦ローマでは作業ミスによる爆発事故が発生。艦載機一機と作業員数名を失う事態になる。
「敵戦艦を見逃した上にこの様な事が起こるとは……」
ローマの艦長は忌々しく思う、ムッソリーニの無能ぶりが引き起こした間違いは海軍が一番被害を被っていた。建造していた空母も手放したのは間違いと思っている……彼は叫ぶ。
「ベルリンに連絡しておけ!アスカ級は二隻ありだ」
本国首都に連絡しても無意味なのだ。

日本の三国同盟破棄は独逸や伊太利亜にとって予想外であり、この事も伊太利亜海軍の近代化を遅らせた遠因になっている。聞けば日本は量こそ亜米利加に劣るが質に関しては亜米利加以上とも言われている空母建造にノウハウは独逸のみならず伊太利亜も欲しいのだが……総旗艦ローマでさえも独逸海軍初の正規空母ザクセン級の二番艦、更に計画段階であった量産型軽空母“ザイドリッツ級”をイタリア各地にある海軍工廠ドックでライセンス生産と言う形で貢献しており奇数番号艦が独逸、偶数番号艦が伊太利亜となっている。この船もヒトラーの一声で一旦は建造中止になるも米海軍空母群や日本海軍の空母群の脅威を感じた海軍出身の側近らの説得で建造再開、Uボートは確かに優れているが対潜技術に関しては日本軍がリードしていた。この事が太平洋での米海軍潜水艦戦術ですら苦戦する事を知ったヒトラーは直ぐに空母開発に舵を切ったのだが……遅かったのである。
結果的に独逸/伊太利亜海軍は事実上空母に関する開発や運用に関しては戦時中と言う状況下での手探り状態を強いられた。米国の場合は大西洋のウルフパックが幾分時間を稼いでくれたが日本の場合は印度洋や東シナ海では逆にウルフパックを破られると言う最悪の事態がなお一層混とんを呼び、海軍首脳陣の功名心が見当違いの命令を出してしまったのである。ただヒトラー自身にも責任の一端があるがファシスト国家にはそのような考え方は通用しないのだ。


「ドイツ艦隊、極光艦隊主力と砲撃戦に入ります!」
「何!」
ローマの艦長は直ぐに戦艦空母艦隊の恐ろしさを知った。艦載機を収容しつつも接近し更に砲撃戦でトドメを刺す……しかも艦載機を護衛機として随伴させる事も可能なのだ。
「51サンチ砲か……」
米海軍は生産性を考慮して40サンチ砲で揃えているのはやはり工業力によるものだ。
無論51サンチ主砲戦艦も建造出来るが生産性や艦に搭載出来る量を考慮すればそこそこの破壊力を持てば十分と言える。戦とは質も大事だが量がモノを言う、それが米軍の本質である。日本の場合は質を重視しており51サンチ主砲戦艦を揃えたのはやはり破壊力重視と言う考えに行きつく、ドイツ海軍はランドパワー国家とあって砲術兵器の向上は戦車の登場でより一層必須になったので戦艦の主砲はそれなりに強力だ。これは拳銃にも言える事だが砲身の交換は必要だ。戦艦の主砲となるとドックにあるクレーンでないと無理、飛行船を利用する計画もあったがヘリウムの産地が米本土とあってドイツは仕方なく可燃性が高い水素を使うもヒンデンブルク号の爆発炎上事故以降は使用されてない。
だがこの事故を利用したのがロンドンを初めとするバルーンカーテンだ……ロンドン初空襲の際に爆撃高度に合わせて設置したのだ。WWTでも使用された手口とあってドイツ空軍は機銃掃射した途端に轟音と共に爆風が襲い爆撃機に搭載したいた爆弾が誘爆した。しかしこれはロンドン市内にも甚大な二次被害を及ぼす為にあんまり使われてないしV1やV2による爆撃、列車胞による砲術で意味がなされてないのだ。
「ドイツ艦隊は?」
「被害甚大です……残存艦がこちらへ向かってきます」
三国同盟破棄によるドイツ/イタリア海軍の停滞も葵川の読み通りなら……恐ろしい知将だ。

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す