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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 67

後世日本軍はこの様な事が無い様に本国の参謀本部や全線で指揮する士官を定期的に入れ替えれており、必要ならば本国の統合参謀部所属の将校が前線に赴く事も積極的にしている。
「独逸海軍省の上が総統府から来た将校により一時的に乗っ取られたかな」
葵川の言う通りであった、ここでこの艦隊の艦載機が追撃を仕掛けたら全滅するのでグラーフツェッペリンは地中海に入ってもらう必要があった。


ユナイテットステーツのアイランドにてアイゼンハワードがため息をつく。
「極光艦隊の動きを注視しろとさ……ホワイトハウスは未だに大西洋がウルフパックの海と認識してないらしい」
「適当に言っておきますか?」
「そうしてくれ、それよりも太平洋戦線の潜水艦連中には癪に障るが我々も狼鮫釣りでもしてみるか」
「れ、例の兵器を試すんですか!」
「そうだ、海兵隊の喧嘩の腕利きを集めておけ……ヨシムネ.アオイカワにはまだまだ活躍してもらう必要があるからな」
実はアメリカ海軍でも日本の潜水艦を拿捕する研究が進められていたがそのマーカーを付ける為の特殊魚雷が問題であった……性能がよくないのだ。暫くは中断していたが先のロモアラモス原子力研究所爆撃と言う人類初の核災害と言う結果を招いた要因はキリが無いほどある……その一つが日本の潜水艦に関する全ての事を舐めきっていた認識を持っていたアメリカ海軍首脳陣だ。ただしアイゼンハワードやキーガンと言った前線に出た事がある将校は危機感を募らせていたが彼らの要望は届く事はなかった。ここに来て海軍は中断していた敵潜拿捕システム開発を再開したのはUボート型空母の実現する可能性が急浮上したからだ、アメリカの潜水艦はお世辞にも高性能ではない……ドイツに勝るのは数のみだが性能が悪ければ話にならないし潜水空母をアメリカが開発するには10年はかかる。
それならあと一歩で完成する敵潜拿捕システムを再開させた方が早い……Uボート型空母が実用化すればホワイトハウスに核の閃光が覆う事もあり得るからだ。ロモアラモスは不幸にも核反応による甚大な被害を知らしめた結果になりこの事がアメリカ国民に知られたら核アレルギーを引き起こす事になるだろう……実際ロモアラモス周辺の軍基地には厳密な緘口令が敷かれている。悪戦苦闘して米国の敵潜拿捕システムは完成、日本海軍とさほど変わらないが投下する航空機はコンソリデーテットPBY系を改修、ハイドロスキーによる離着水を可能して発進機沈下式ソナーを追加装備したコンソリデーテットPBY−5Eである。この為に米海軍は民間の重量物貨物船を仮母艦にしており今回の作戦でも二隻の仮設水上機母艦が随伴している。
これは米海軍艦艇に日本海軍の秋津洲の様な大型飛行艇母艦が存在しなかったので初めから建造するよりも民間の重量物運搬船をレンタルする形を取りつつ運用して改善点をまとめ上げて専用母艦を建造する事にした……最も大事なのは将来改装出来るようにする事だ。近い将来軍の水上機や飛行艇は大幅に減少する可能性もある、ジェット機の実用化や空中給油システムの完成は米国の軍事は勿論、経済主導権さえも握り世界さえも支配できる。最もそれは今やホワイトハウスの住民による妄想に過ぎないが……亜細亜は日本と英国、そして極東エレサイムにより一大経済圏を構成した今、米国はナチスドイツ第三帝国を倒さなければならない。その為には手段を選んでは居られないのだ。
「こんな時に軍を経験してない大統領は弱い」
アイゼンハワードは荒れて来た大西洋の海原を見て呟く。
米国は意外にも電子機器の小型化には日本とドイツよりも遅れておりこれが特殊魚雷アリゲーターガーの実用化を遅らせた要因であった。政府は慌てて小型化の為に全米にある精密機器メーカーの枠組みを超えた協力体制を構築する羽目になり先週漸く実用化に成功したのである。
「太平洋戦線の友軍潜水艦三隻の乗務員には悪いがこちらとしても色々と御膳立てしてくれた極光艦隊へのお礼をする必要があるからな……」
アイゼンハワードはこの後来る電文に憂鬱になりつつも言う。
「漁の開始せよ」
「イエッサー」

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