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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 66

航続距離が短い……ポチョムキン=ダウリーチェスキー級は船体の長さから軽空母に分類、特徴から英国の空母にかんする情報やノウハウが相当流れていた事が窺い知れるが異様な程の航続距離が短いのはソ連海軍の艦艇に見られる特徴であった。日本海軍の空母である伊吹型で18ノットで6300海里(約11,700q)、英国のコロッカス級でも同じ速度で8000海里(約14800q)と比べると4580海里(8,500q)は異様な程に短い。恐らく黒海やバルト海に限定して運用する腹でもあったのだろう……更に言えばソ連の航空機事情はお粗末過ぎてイタリア空軍とは良い勝負になりえる程酷かった。大戦初期に日本軍との満州国境付近で衝突があったが零戦を投入して制空権を奪い返すのに米国から戦闘機を導入しないとダメであった。最も今はソ連首脳部の混乱でシベリア方面軍は反スターリンの機運が高まっていると言う。
「下手すると日本軍は元より米国の艦載機を使う可能性がある」
「厄介ですね」
「最もスターリンにとって代わる指導者が出てくると思う、シベリアに」
「……」
「今はグラーフツェッペリンを地中海に入れる事が先決だ……恐らく極光艦隊はこの空母を沈めるか沿岸部を攻撃するか……」
「敵艦隊の目的は」
「最終的には英国に砲撃する列車胞要塞と見ている……米海軍機のパイロットを恐怖の底に落としたX弾頭は知っているな」
「何でも太陽がその場に出現したと思えるほどの光と機体すら消し炭にする日本海軍の秘密兵器……まさか」
「ベルリンにそれを落とされたら終わりだ……空軍にあの機体を準備させるように言ってほしい」
「無理だぜ?総統閣下の言葉が無い限り」
「ホルスXは首都防衛の切り札だ……仮にX弾頭が総統府の上に落ちてみろ。地下シェルターはあの様な爆薬には想定してないから高熱で二次被害もあり得る」
「わ、わかった……空軍の参謀部に居る同期の親父さんに進言して見るが期待するなよ」
「ダメなら私が直接総閣下に進言する」
「おい、おい」
「敵は恐ろしいほど知略者だ、Uボートを大量拿捕して海軍主力をおびき出した……グラーフツェッペリンを今沈められると大変な事になるからな、海軍だけで極光艦隊を倒そうとは考えてない」
「海軍の連中が従うか?」
「従うさ……ゲシュタボやSSに居る同期の手も借りる」
「ここまでしないとダメか」
そう、米海軍の動向も気になる……やはりアイルランド空爆が米国世論に対ドイツ戦を盛り上げてしまった要因だろう。


「グラーフツェッペリンは沿岸沿いを航行していると思われます」
「そうだろう……各基地からとっかえひっかえの護衛機を飛ばしているな」
「米海軍の指揮官は引っ掛かるでしょうか?」
「かからんさ……対独逸戦に関しては百戦錬磨だ」
「ですが、米軍艦載機は我々の艦載機航空隊に対して戦闘の意思は無い事を伝えてます」
「当然の成り行きだろう……米軍にとっては渡りに船に見せたんだから」
先の鵜具瑠藍(ウグルアイ)訪問も敢て艦隊の全容を米国に知らしめたのは複数の意味がある、一つは太平洋戦線に対する諦め、もう一つは大西洋戦線での協調である。
「影は予定通り喜望峰を回り北阿弗利加へ」
「畝傍(二代目)は?」
「先の白兵戦で至近距離で艦尾周辺がボロボロで現在ドックに入ってます、なお印度洋での欺瞞作戦支援は三河が代行、東郷型航空巡洋艦一番艦東郷と琵琶湖型補給船二隻により順調です」
「うむ……グラーフツェッペリンを引き返させるとは、あちらにも優秀な人材が残っていたな」
「と、言いますと」
「英国からの情報を見て思うが独逸軍将校は官僚化しているだろう」
「書類や地図、上がってくる情報で作戦を指示する……」
「これが愚の骨頂だ」
これは前世日本軍が犯した最大の間違いであり、結果的にインネパール作戦を初め多数の日本人兵や徴発された亜細亜各国、戦争捕虜を死に至らしめた。

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