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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 64

煙幕を炊きつつも独逸駆逐艦が護衛すべき商船を盾に逃げ回る。
「砲手、あんまり撃つな!」
「煙幕を突っ切ってくるぞ!」
艦長が叫ぶと副長は頷くと独逸駆逐艦とすれ違う、旧式で恐らく第一次世界大戦で使用されたモノを機関や電子機器を換装したタイプだ。
「艦長」
「各員白兵戦に備えろ、ボッシュ野郎は女に飢えているからな」
「各員、機関拳銃準備……機関小銃(アサルトライフル)や対戦車機関砲(対戦車ライフル)も使用を許可します」
衝撃で船体が揺れ、案の定あの独逸駆逐艦が切り返して船尾に追突したのである。
「ちっ……旧式だからって舐めやがって」
「航海長、舵と船長をお願い」
副長は直ぐに駆け出す。
畝傍(二代目)は白兵兵に挑む海兵らが襲いかかるも畝傍の乗務員も応戦する。
「銃剣装着!」
意外に思えるが代々軍人を輩出した家柄は娘に槍や長刀と言った武術を習わしている、花嫁修業と言うよりも姑からの理不尽な事に対する忍耐力を付けるのが目的と言える。だからこそ銃剣を付けても問題は無いのだ。
「SMG!」
独逸軍兵士が叫ぶと乾いた音が鳴り響く……上空には友軍機のエンジン音が聞こえて来た。
「探照灯を船体後部に!」
その光景に友軍の航空士は平文で送信する。

 畝傍(二代目)、敵海兵トハクヘイセンサイチュウ

上村は叫ぶ。
「戦闘速度最大!各員独逸兵を蹴散らしにいく」
「了解です」
西処女亜(ウェストバージニア)が進む。
「各員戦闘態勢!畝傍(二代目)に接舷させるぞ!操舵手!分かっているな」
「任せてください、万が一になったら海軍にはいられませんからね!」
雲龍からも連絡用回転翼機が飛び立ち、本来はちとした荷物を載せる個所に武装した海兵が座り飛行する……高度が低いのか夜間でもはっきり見える。
「いきなりですか……」
「多少危険だがやむを得ない」
上村は唾を呑む。


畝傍(二代目)船上の白兵戦は日本海軍側に有利に働いていた。二番砲塔が空砲を発射したのである……空砲とは言え重巡摂津の元主砲、その威力は凶器に等しい。
「砲術長!!!無茶しないで!!」
理由は余りの轟音で友軍兵士にも耳に変調を来たしたのである。
「あれは、雲龍の……」
回転翼機からロープで降下するなり機関拳銃を二丁拳銃の様に撃つ日本海軍士官六名。
「大丈夫ですか!」
「なんとか……対戦車ライフルやがありますが」
「ありがたい」
女性士官には扱うには少し重すぎただろう、彼は叫ぶ。
「独逸野郎を魚のえさにしてやれ!」
対戦車ライフルを構えて発砲する……この武器は本来は海軍は採用してないが想定外の白兵戦を想定して船長が陸軍に居た同期に頼んで調達したモノの一つであった。対して独逸海軍歩兵が持っているのは銃剣を付けた軍用ライフル銃のみ、まさか相手が陸軍並の装備を持っていたのは予想外である。しかも機関拳銃(SMG)まで装備していた。
銃撃戦になるがライフル銃は連射が出来ない……相手が女性でもSMG所有なら独逸海軍歩兵は分が悪いのである。
「なに!」
ナチス独逸第三帝国駆逐艦と畝傍(二代目)がぶつかっていたがその間に艦首を強引に差し込んで進む西処女亜(ウェストバージニア)……激しい震動と鉄と鉄がぶつかり擦り切れる音は戦闘を中断させた。
「各員戦闘開始!」
船が動く最低限の人数にして手が開いている者は武器を手に取り独逸駆逐艦と畝傍(二代目)になだれ込み、日本海軍vsナチス独逸第三帝国海軍士官同士の格闘戦になだれ込んだのである。



亜細亜派遣艦隊旗艦長門が来た頃には独逸駆逐艦に白旗が揚がっていた。
「……こりゃあ酷いな」
今年編成された遊撃第二艦隊旗艦は大和型航空戦艦四番艦三河であり昨年までは八八艦隊の後方支援部隊護衛になっていたがナチス独逸第三帝国との交戦状態になり遊撃第二艦隊旗艦として配備された。
「畝傍(二代目)は艦尾回りは要修理と言う事です、特に第二主砲塔回りは工作艦で手に負えない可能性もあり最悪ドック入りです」
「仕方ない畝傍(二代目)の任務も代行する、本部に暗号で通信」
報告に来た副長は罰が悪そうだ。何しろ先程の戦闘で独逸商船団は逃げていたのである。
「安将丸船長戸倉 泰三大佐であります!」
「司令官の関 忠正だ……済まないな、呼び出して」

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