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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 62

「レーダーに感、敵機です!IFF反応黒!」
「どっちだ」
「そ、それが……日米同時です!」
「何!」
「各船自由迎撃へ!」
「防空隊の全機出撃!」
「何故だ……」
司令官の呟きに船長は言う。
「戦場は何が起こるか分かりませんからな」

全くの偶然であった、極光艦隊の航空攻撃隊はニ機の電子作戦機に先導されて航路上に敵旗艦へと向かっていた。そこにユナイテッドステーツの攻撃隊を中核にした米軍艦載機隊と遭遇、戦闘になるかと思われたが米軍の攻撃隊隊長機からの国際モールス信号により戦闘の意思が無い事が確認されたのである。アイゼンハワーの厳命を受けた海軍航空士大佐の判断で逢った。
「海鴉が突撃を図ります」
デカイ図体を海面に着くかと言う位に低空飛行、その上ワルダー機関を全力でブン回して水密扉からなんと駆逐艦用魚雷二本を投下、しかも主翼には普通は艦載機が使用する航空魚雷四本を投下して急上昇したのである。
これを目撃した亜米利加海軍航空士達は機体も乗務員の技量の高さを改めて思い知らされた。計六本の魚雷はグラーフツェッペリンへと向かうも潜水艦先進国と言うだけに艦上射出型迎撃機雷をばら撒きつつも防空/防潜巡洋艦に守られたグラーフツェッペリンは最大船速で航行、水柱が起こる程の海中の揺れに誘爆させたが付近に居た旧式駆逐艦が傾いた。まるで南氷洋へと行く際に通り過ぎる荒れ狂う海域の様に。
「何故こんな事を……」
グラーフツェッペリンの船長は考える暇もなく無数と思えるほどの米軍艦爆機からの魚雷攻撃、そして日本海軍機のからのミサイル攻撃を受ける事になる。
「熱源感知だと……くっ!フレアをありったけ出せ!」
ミュンヘンベルクの空爆では敵の誘導弾は確実に煙突を目掛けて跳んで来たと言う証言がある、船長は防空/防潜巡洋艦艦長に対してフレアを多めに登載する様に密かに下命していた。
しかし急に組み込まれた改ビスマルク級の戦艦二隻には定数量しか登載されてない……しかも船足が遅れ気味である。
「機関換装してないのか!」
司令官の声と同時に改ビスマルク級戦艦艦橋にミサイルが直撃、船の針路が迷走を始める。
「ルクセンブルクが」
改ビスマルク級ルクセンブルク機関室長は直ぐに甲板に出て喪失した艦橋の一番上を見て叫ぶ。
「艦橋要員全員死亡……なのか」
艦橋へと続く通路を進むと操舵室は無かった。
「機関副長……俺の指示で進路を言う」
かろうじて残っていた艦内通信受話器で機関長は重苦しく言う。
「伝令兵生きているか?」
「は、はい……」
「モールスで発信……ワレ艦隊コウドウフノウニツキテキカンタイニ特攻スル」
「了解です」
グラーフツェッペリンのアイランドに居る司令官は完全に我を失っていた。船長は直ぐに指示を飛ばす。
「駆逐艦数隻をつけて救助を向かわせろ!信号手直ぐにルクセンブルクの単独行動を止めろ!」
気が付けば敵艦載機は去っていた……防空戦闘機は余りの数に対応しきれずに撃破された機体も多かった。


一方、グラーフツェッペリンの艦載機により構成された攻撃隊は極光艦隊に攻撃を仕掛けるも高射角砲や高性能対空機銃砲座で固められた飛鳥にそれを警護する三笠型海防航空艦/アテナ級イージスの奮戦により耐えきったのである。
「被害はないな」
「致命傷は無いです、プリンスオフウェールスが対空散弾砲を発射してます」
「そうか……」
やはりナチス独逸第三帝国海軍航空隊の技量は低い……教科書通りしか出来ずに応用が無い、これはほぼ半数以上が飛行経験が少ない航空士である事も一因であるのに対し極光艦隊はこれまで亜米利加との海戦した戦闘経験を惜しみも無くつぎ込み、今もなお進化し続ける艦隊であるのだ。
「対空散弾砲は使えるな」
「ですが、ナチス独逸第三帝国の航空機は侮ると危険です」
「うむ……パブの噂では空飛ぶ円盤機もあるとも言われているな」
「まさか、西処女亜(ウェストバージニア)の艦長の親父さんが執筆する冒険小説じゃあるまいし」
「噂を流して敵を動揺させるのはどの国の戦乱時代にもあった事だ、向こうにはゲッペルス以上の曲者がいると見ている」
「はい?」
「ゲッペルスは裏方とは言え顔が知れているから亜米利加のスパイは暗殺を目論む、だが相手はそれを見越して後継者を育てているとしたらどうなる」
「あ……」
「よく、ここまで育てあげたと思うよ……ナチス独逸第三帝国海軍航空艦隊を」

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