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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 61

「後、携帯食糧も用意も忘れる出ないぞ」
戦闘中や警戒中は厨房の使用は制限若しくは禁止されるので保存が利きやすい握り飯や缶詰になる。これは前世の話になるが1982年に英国と亜爾然丁(アルゼンチン)の間で起きたフォークランド紛争当時、展開していた英国駆逐艦シェフィールドは亜爾然丁が持つダッソーシュペルエタンダールに搭載した対艦ミサイル“エクゾセ”が数発命中、爆発したのである。

(ただし不発で漏れ出した燃料で引火したと言う説もある)

その際同船の調理室は使用中で火災が食料油に引火、更にミサイル攻撃により発電システムがダウンしてダメージコントロールが喪失……乗務員21名が死亡、同船は後日沈没した。

この事から船舶に搭載する調理器具開発は日本にとっては課題の一つであった。
高性能である事はもちろんだが安全性を考慮する必要もある……何よりもこの様な技術は国民生活にも大きく貢献出来る可能性がある。


「アメリカ大西洋艦隊がうごいただと!!!」
「はい!多数の軽空母と戦艦を要しますが敵旗艦はユナイテッドステーツ……我が艦と並ぶ超弩級空母です!!!」
「ちっ、地中海艦隊がスエズ運河を通っている頃に……」
グラーフツェッペリンと並ぶ超弩級空母はこれまでUボートが狙って雷撃するも尽く失敗していた……巨体の割には驚異的な旋回能力を齎すバウスライダーを装備、更に随伴する駆逐艦にはヘンリポックと言われるミサイル型射出式迎撃魚雷を装備してUボートの魚雷を誘爆させ、性質が悪い事に輸送船に見せかけて回避不可能の際には自ら楯になる偽装駆逐艦ボディーガード級も配備されていた。群狼集団のUボートにも物量でモノを言わせるアメリカ海軍の補給路を断つ事は出来なかったのである。
これがヒトラーにとって英国攻略を遅らせる結果になった事は明白、更に自身のUボート信仰が間違いである事を知る事になった要因になる。
「面白い、先にアメリカの超弩級空母を撃沈する」
「まっ、待ってください!」
「裏で日米が繋がっているのなら……」
この艦隊司令官は余りにも自身の航空戦力を過信していたのである。ナチス独逸第三帝国海軍の航空士はこれまでは水上機や飛行艇乗りしか存在せずに有能なパイロットは殆どが空軍に移籍、各空母に居る航空士の殆どが空軍からの移籍や出戻りで構成、艦載機も空軍の機体を改修したのに過ぎない。空軍上層部もエースの移籍や出戻りにはしぶってはいたが今後の戦局を睨めば海軍を無視する事は出来ない、何よりも総統命令と言う建前でどうにか航空機動艦隊が出来たと言う所である。だが陸地を飛ぶのと海上を飛ぶのでは心理では異なる……ランドパワー国家であるナチス独逸第三帝国の航空士は海に対する恐怖は一旦体験しないと分からないと言うのが多い。
対して日本海軍の航空士達は士官候補生の段階から漂流対処訓練をしており、特に水練(水泳)が出来ぬ者は入隊を認めずと言うほどである。最も日本軍の場合は義務教育の段階で水泳を取得している者が多く、漁村出身者は無論、山村出身者もほぼ泳げる人が多いので問題は無いと言う。ここら辺は民族性や地政学にも関係しているのでキリが無いが……。
「航空参謀長は極東のサルがこの船を沈められると思っているのかね?」
「確かに我が国の造船技術はアメリカにも劣りません、ですが敵の航空魚雷は強力なのです」
確かにスパイから齎された米国との戦闘情報を見れば分かるが……司令官は空軍で鍛えられた航空士や機体を信じるしかなかった。下手すると海軍大臣が射殺されても不思議ではない、それが今のドイツだ。
「何のために防空/防潜巡洋艦があると思っている……砲には幾分アドバンテージがあり、ミサイルや飛行爆弾なら日本と渡り合える……君は艦載機の効率がよい運用を考えていればいい」
航空参謀長は呆れるが船長はささやき声で言う。
「万の一の時は消せばいい、あんなモノを司令官に据えるなぞ」
今年、アーリア人の優位性を演出する為に総統閣下はゲルマン民族貴族制度を設立、それは金髪碧眼の美しい外見を持てば才能なぞ二の次であった。これが従来居る独逸軍士官らには癪に障り、前線でよく味方に暗殺された。特にSSやゲシュタボが察知が遅れる艦隊では多かったがゲルマン民族貴族に任命された有力将校らが要職に就いてもそれが収まる気配はなかったと言う。
「船長」
「何、ショックシェルにかかって気がふれて自殺したとでも言っておけばいい……」
自分らの経験がモノを言う事を自負していた船長は常に実弾が装てんされた軍用拳銃を装備していた。

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