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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 60

蹴球(サッカー)は之までは海軍士官学校の鍛錬の一つとして息抜きも兼ねて広がっていたが近頃は亡命ユダヤ人や英国人に仏蘭西人、独逸人が日本に住むようになりその子供達がしている所に日本の子供達にも広がり、文部省も教育に良いとして体育の授業に取り入れられている。
「世界大会もあると言っていたな……最も今は政治利用される事を警戒して取りやめになっているそうだが」
「はい」
そう、伯林五輪は今でもヒトラーとナチスに穢された五輪と言っている者も少なくは無い。
「所で我が艦隊にその競技に上手い奴がどれだけいる?」
「はい?」
葵川の笑みに副長は何と無く分かった。

数日後、極光艦隊は鵜具瑠藍(ウルグアイ)に到着。葵川は大統領やら防衛大臣との会談、そして極光艦隊で蹴球の腕に覚えありと言う猛者を募って地元の海軍有志選手との親善試合である。無論、技能差は歴然としていたがこの事にマスコミらは葵川の外交手腕を高く評価した。
亜米利加の大手新聞社もこの蹴球外交には驚きを隠せない……同時に日本海軍の艦隊が南亜米利加に到達した事は亜米利加大西洋艦隊を慌てさせた。
「……極光艦隊は攻撃できない、寧ろ協調してドイツ大西洋艦隊を壊滅させたい位だ」
「司令官」
「中々の策士だ……我が艦隊にはそれしか選択肢がないからな」
アメリカ大西洋艦隊は早くから航空基幹艦隊化しドイツUボートが潜む大西洋を渡る陸軍を乗せた輸送船団を英国まで送り届け英国から脱出する輸送船団を米国本土まで護衛していた。最近は磁気探査や音響探査精度もあがりUボートによる雷撃による被害も減っていた。
「のろうじゃないか……アオイカワの思惑通りに」
「司令官……ホワイトハウスからです“カノウナラテキカンタイチョウセンカンアスカヲゲキチンセヨ”」
「……大統領を語れば済むと思っているのか?」
アイゼン.ハワード海軍中将はホワイトハウスの事はよく知っていた。本当に大統領の威光を借りて自分の政策を売りつける輩が多いと困る、自分が現場指揮に戻れたのはそこの将校らの対日攻略の食い違い、未だに戦争継続を主張するがそんなもんはヒトラーが喜ぶだけだ。ハワイが占領されているが日本軍は原住民に近代インフラを整備や援助、それどころか占領直後は脱出を希望する民間人を送り届けたり、地元企業との対等な商取引もしているからレジスタンス運動が起きてない。これがハワイ奪還に踏み切れない原因ともされて、ダッチハーバーに居るキーガンも御気の毒と言えよう。
「現場を知らんなぁ」
旗艦“ユナイテッドステーツ”は設計段階から近い将来主流になるジェットエンジン艦載機に対応した装甲空母である……前世では船台のみになって建造中止になり、アメリカ空軍が撃沈した唯一の空母と皮肉られたが後世ではグラーフ.ツェッペリンに対抗する意味で1939年に起工し西海岸とあって日本軍もこの空母を知ったのはハワイ占拠後である。
「日英同盟さえなければ太平洋艦隊の弔い合戦になったのに」
「航空参謀長、仕方ないのだよ……悪いのは図面で作戦を戦略を練ったペンタゴンだ」
ユナイテッドステーツは自由の女神像に別れを告げ、他の戦艦と共に南下を始めた。


後に大西洋航空海戦と呼ばれる海戦の始まりを告げていた。


数日後、鵜具瑠藍(ウルグアイ)の訪問を終えて英国への最短ルートを取る極光艦隊は英国のアークロイヤルとプリンスオフウェールスにアテナ級四隻をエスコートして航行を続けていた。
「二式大艇海鴉からの報告です」
この艦隊には二式大艇系を収容できる秋津州型大型飛行艇水上母船二番艦八重洲が配備、二式大艇海鴉は対潜哨戒から本国との連絡用に配備され、ワルダー機関に換装した事により富嶽同様な高高度精密爆撃を可能、これは艦隊がナチス独逸第三帝国の核関連施設への爆撃能力を有している現れである。
「本命はやはりこの航路に網をはってます、なお米国はユナイテッドステーツを旗艦にした大西洋艦隊……司令官はアイゼンハワード海軍中将です」
「案の定乗って来たな……」
「偵察機が傍受した会話内容から狙いはグラーフツェッペリンです」
「平文で発信とは」
「相手も策士だ、ならこちらも攻撃隊に下命……信州と土佐の攻撃隊は艦載機を発進を急げ、艦隊防空隊の信玄と謙信にも警戒を厳に」
「了解です」
「対潜警戒も厳に」
問題はナチス独逸第三帝国軍の電子戦能力であった……葵川はキリっと言う。
「厨房に珈琲濃液(コーヒーエキス)をバンバン作らせて夜間任務に配っておけ……」
「了解です」

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