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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 7

「しかし、英国には米国が居ますが」
「その米国は我が国を過小評価しドイツ以上に苦労している。ハワイ奪還が優先になっている」
「両面作戦が失敗していると……」
「ドイツは海軍はUボートの群狼戦術、航空機に至っては我が海軍よりも進んでいる可能性もある」
「では……我が国はドイツに勝てますか?」
「何も我が国だけが戦う訳もない……亜細亜各国との共同戦線を張るつもりだろう」
「な、なんですと!」
「英国もシンガポールから撤収させたプリンス.オフ.ウェールを何時までもインドムンバイに置いとく訳にもいかない……」
英国は開戦前にシンガポールに係留していたこの船をインドへと移動させていた。この事が日本軍の猛攻を回避する事に成功した。
因みにインドは独立、この際英国政府はほぼ自発的に植民地化支配による補償としてインドに展開していた英国海軍や陸軍の兵器を一部無償譲渡、旧式化していたがこれを日本政府から派遣された技師が持てる技術を持って近代化改修を進めると言う奇妙な事が起きているのだ。その代わりに英国亜細亜艦隊は駐留する形になる。
「うちのおやじが言うにはヒトラーは民衆の心情を掴み支持を得る天才だ……著作である“我が闘争”を分析、当時政府が三ヶ国同盟を結んだ時にも危険性を首相に提言した。よく射殺されなかったよ」
「艦長の父上は有名な参謀でしたからねぇ……」
「予備役も断って子供向け空想科学小説の新人作家になり、ボチボチ売れ始めたと思ったら橘総長が尋ねるなり土下座して影のブレーンになってくれって聞いた時は腰抜かしたよ」
副長はその時の光景を想像しただけで同情した。
「何れドイツは同盟国さえも支配に置く」
「そ、そんな事が……出来るんでしょうか?」
「現にイタリアはファシスト政権だがムッソローニは傀儡になり果てている。兵器面でもドイツに勝っているとは思えないからな」
「流石に鬼才上村源蔵参謀長の息子……感服しましたぞ」
横に座っていた士官が話しかける。
「親父の受け売りですよ……」
「私は統合参謀士官の下條 道真と申します」
階級見ると自分よりも上で慌てて敬礼をする二人。
「近いうちに軍は三軍になります」
「「三軍?」」
「私が居る陸軍も上村一佐が居る海軍は其々航空機戦力を有していますが空軍があってもよろしいかと考えてます……知っての通り航空機も兵器としてではなく輸送の手段として活用するなら空軍があった方が宜しいかと」
「空軍か……」
「しかし飛行機は小さいし積める荷物も限れる」
「確かに……だがそれは船も同じ事が言えるが超大艇の様な航空機なら」
「……爆撃機になるのなら輸送機にも出来る、現に私達は利用している。しかし飛行機は大きくなればなるほど滑走距離が増えると聞きましたが」
「そこが頭が痛い所ですが本土にある港湾に琵琶湖、南洋なら……」
「「飛行艇」」
二人の答えに彼は頷く、飛行艇は確かに技術力や工業力の目安になる事は確かでパナマ運河を爆撃した事は非常に大きい。それは例え占領地になっている布哇(ハワイ)を経由したとしても航法技術は遜色ない事を示している……更にパナマ運河は閘門式運河としてに史上最大と言っても過言ではない。閘門式運河は日本でも幾つかあるが何れも外洋船舶所か内洋船舶すら通れない程小規模で精々石炭輸送用の方舟しか通れない……閘門式運河とは例えるなら水の階段である。
閘門と閘門の間に船を進めて次の閘門までの水位を合わせ、水位が同じなれば閘門が開くそれを繰り返して進むのだ。ドックと同じ量の水が幾多にいるので幾つかダムを作っている……ダムの破壊は爆撃でも難しい部類に入る。恐らく閘門を一つ破壊すれば大津波並の水量が襲いその場に居た艦船は大損害を与える。第二パナマ運河は恐らく地中運河になる。
「そろそろ着くようですよ……」
下條少将はニコっとする。


 飛行機は無事に種子島海軍飛行場に着陸する。
「お待ちしてました……丁度墳進弾の試作機を打ち上げる予定です」
技師士官らが敬礼するなかその上官が丁寧に言う。
「無理をしてないか?」
「既に燃焼試験と模型での試験飛行を繰り返してます」
思ったよりも難物らしい……上村は一抹の不安を感じるも信じることにした。

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