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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 58

「?」
「橘次官ですよ……」
「クーデターの海軍側首謀者ですね」
「はい、私は当時は予備役でもう軍人辞めて教授を目指すと思っていましたが……まさかドイツを相手する艦隊編成や戦略を任せるって言われた時には驚きました」
苦笑する葵川を見た基地司令官にも何と無く分かる、本当に大変な作業だ……。
「そしてこのヘリコプターも民間への開放も戦後に予定してます」
「これもですか?」
「我が国はこの様な航空機は海難救助にはうってつけです……海軍航空研究会はその器具や降下方法を研究してます」
「なるほど」
軍は何かとダーティなイメージがあるが軍が採用した道具や方式は意外と民生転用され、一例として缶詰も元はナポレオンの時代に食糧保存が出来つつも行軍に最適な食糧方法として一般公募されたモノである。近代戦争の幕開けと言われている第一次世界大戦後を見ても戦車の駆動システムは建設重機への発展した。
「司令官、御堂船長からです。敵超弩級空母動く」
「やはりきたか、グラーフ.ツェッペリン級が、機長済まないが基地へ着陸してくれ」
「はい!」
極光艦隊司令本部は騒然となるも想定されていた事だ……直ぐに指示を飛ばす。
「地中海艦隊も動き出すか……」
「第一連合艦隊に遊撃艦隊も動いているとは言え早急過ぎるな……海軍だけか?」
「今のところは、昨日の偵察で慌てて動いたと言う事でしょう」
そうだろう、このトリスタン.ダ.クーナは大西洋の孤島であり空軍が展開するとなると戦略が限られる上に航続距離の問題が出てくる……日本軍でも航空研究会が進めている空中給油が実用化するか富嶽の様な飛行艇があれば話は別。しかし独逸には飛行艇をここまで重要視してなかった……最も今は事情が異なっているかもしれないが。
「迎え撃つのですね」
「もちろん、ですがマトモに艦対戦になると思うかな?」
部下一同は葵川がマトモに艦対戦するつもりが無いらしい。
同行しているアークロイヤルの艦長もプリンス.オフ.ウェールスの艦長や司令官も彼が曲者と言う事は知っている……敵に回せば厄介、味方なら頼もしくなる、それが葵川 吉宗中将である。
「あの空母を狙っているのは我が国の海軍だけでない」
「あ、亜米利加ですか!!!!」
「そうだ……ユ号潜02〜05潜は展開を済んでいるな」
予定外の追加戦力となった拿捕したUボートに関しては亜細亜各国の海軍士官と日英軍に協力を申し出たナチス独逸第三帝国海軍士官有志らの手により運用される事になり、北阿弗利加の印度洋側に展開していた通商破壊任務に就いている畝傍(二代目)がユ号潜の潜水母艦を兼任する事になった。
「はい……ですが、畝傍(二代目)は……その船長以外は全員女性士官ですが」
これには英国海軍の将校も呆れた。
「問題は無い……全国にある海軍女子士官学校から選抜されたあり合わせの割にはよくやっているさ……」
葵川ですら呆れさせた畝傍(二代目)……日本海軍の史上初、いや世界初のほぼ女性士官で運用された畝傍(二代目)に関しては少し説明しよう。
まず後世世界の畝傍(初代)は前世同様、1883年に仏蘭西フォルジェ.エ.シャンティエ社で建造……その後1886年に日本への回航され海軍の戦艦として活躍、前世では1886年に新嘉坡出港後に消息を絶っており遭難の原因に関しては不明であるが後世世界では健在である。その後は機関換装を受け横須賀海軍学校の訓練艦になり女子士官学校が設立されるとこの船が使用されている。二代目は大淀型重巡艦の二番艦として建造、亜細亜派遣艦隊に組み込まれていたが大問題が起きた……泰にて乗務員全員が赤痢を初め国際機関が定める法定伝染病に感染したのである。報告を受けた橘次官は艦の乗務員が戦力外になる事は想定外、畝傍(二代目)は派遣された民間病院船数隻により徹底的に消毒された上に亜細亜派遣艦隊の僚艦から選出された人員で運用する事も考えたがリスクがあり過ぎる、そこで考えたのが横須賀女子海軍士官学校を初めとする各地にある海軍女子士官学校から優秀な卒業生を集めて運用する事にした。船長は予備役最年長である天海光秀少将……通称“軍服お爺さん”、全国の海軍士官学校で教鞭を取っていたので葵川も教え子の一人だ。
これまでは北阿弗利加の印度洋で独逸国籍の船舶を拿捕しまくっていたが中東が完全にハーゲンクロイツに染まると危なくなり任務の継続も危なくなっていたが拿捕したユ号潜との連携、さらに八八艦隊の遊撃艦隊に編入する事になったのである。

新嘉坡にて上村は西処女亜(ウェストバージニア)の艦橋で苦笑していた……親父と並ぶ海軍の化け物、いや彼にとっては恩師になる天海教官との再会である。
「元気にしておるな」
「はい……教官も大変ですな」
歳の割には背筋が伸びて健脚その物……本当に化け物である。
「副長の九竜 夕子です」
横に居るのが畝傍の副長で階級は少佐、普通なら縁談の話が来る年齢だ。
「この船の事は父からよく聞かされてました」
「そうか、改装担当した九竜技術大佐の娘さんか……」
「はい」
「ここから先は厳しくなるからな」
「分かりました」
「上村、お主はどう見ておる?相手はザクセンかグラーフ.ツェッペリンか……」

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