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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 52

「しかし日本や英国、亜細亜各国だけでは無理かと」
「たしかに……ですがアメリカの対日戦争を支持する声は殆どありません、今やナチスドイツ第三帝国の方が脅威なんです。アメリカ国民は」
「移民故にユダヤ人も含まれている……日本軍はあれだけの航空戦力を持っているのに空襲をしないのはこの為なんですか?」
「そうです、無論ニュウヘンブルクの様に超兵器工場がある場合は慣行します……極力国民に被害を出さない様にしているのですが……」
「葵川司令官は核兵器の事を知っているのですね」
「やはりですか」
「酒場の噂程度ですが中東を抑えたのは核兵器の実験をするのではないかと言う噂もあります」
「……ロモアラモスの事が知れているのか」
ハルトマンは考え込む。
「米国の原子力研究所は海軍も攻撃計画を練っていた所で、日本に先を越されたと悔しがってました」
「なるほど……海軍内の酒場まで噂話が広がっているとなるとニュウヘンブルクの空襲は日本軍による核攻撃と宣伝されているかもしれませんな」
「……出来れば日本海軍に協力したいのですが、U−177潜は見ての通り」
「拿捕したもう一隻は指揮は無理なのか?」
「あちらの方は結党時に士官だった者に優先的に配備されたタイプで私の様なニワカには……最もこの状況で基地に帰還してもSSかゲシュタボに捕まえられたでしょう」
シェリフマンの言葉に二人は唖然とする。
「わかりました、U−177潜の修理を優先に……」
「まてよ、巡潜型なら……」
葵川はファイルを出して二人に見せる。
「伊001潜〜伊008潜はワシントン条約により戦艦の数が制限された事で空母と並行して実用化されたものだ。元になったのはU−142と言う潜水艦だ……何しろドイツから開発者を招聘するほどの力の入れようだったからな」
「見てみないと分かりませんが燥潜なら出来るかもしれない」
「伊008潜なら先行してボンペイに入港している……司令官」
「うむ、かけあってみよう」
その数時間後。飛鳥艦橋にて伝令兵のメモを見て苦笑する。
「やはり無理だったか」
「シカタアリマセンネ、あの船は印度海軍技師官にワルダー機関のキョウザイとしてハケンサレテイルノデスカラ」
「……瑞穂と日進に下命、Uボート反応があれば捕獲作戦を続行」
Uボートは定期連絡を入れることで知られており、恐らく偽装水上母艦の連中も慌てているのだろう……ナチス独逸第三帝国海軍は功名心を駆り立てられる状況に陥っているのなら数隻は拿捕出来ると葵川は推測、予備役時代に心理学を五十の手習いで学んだ酔狂な男はへこたれないのである。
「WWT後期に建造されたUボートの殆どが日本近海に向かっているか……癪だが八八艦隊の連中にもやらせてみるか?」
「シレイカン殿も酔狂ですな」
因みに八八艦隊でも同様の作戦が実施されており、米海軍潜水艦三隻、独逸Uボート五隻拿捕と言う“入れ食い”状態が続いていた事を知るのは半日後である。
「あいつも抜け目ないな……入れ食いとはなぁ」
統合幕僚本部からの報告で葵川は八八艦隊の総司令官である織田五十六大将の顔を思い浮かべた。彼とは海軍士官学校の同期であるが直接の認識が殆ど無い。ただ橘次官が“頭がキレる将校が居ないか”と尋ねられた時に予備役になって東大で心理学の研究をしていた自分の名を出したのが彼である。
「お陰でU−177系列の部品製造も出来るそうですよ」
明石型工作艦種子島の技師長もホッとしていた……幸いにして同じ系列のUボートが拿捕出来たのでバッテリーを含む周辺機器を移植させる段取りを終えていたのだ。意外にもU−177の乗務員らが協力を申し出て、独逸海軍の船に雷撃しない事を条件が出たが葵川は承諾した。
無論、投降した際にも何人か負傷者が出ておりその不足分を各ア号潜の予備人員らが補う事になるがU−177の乗務員らは承諾、以外にも反ナチス感情が多かったと言う事だ……海軍内でも党員になった時期によっては格差がある事が分かり葵川は少し考えていた。
「シレイカン殿?」
「ハルトマン少佐、以外にも第三帝国は脆いかもしれないぞ……これは心理学者の勘だが、今のナチス独逸第三帝国は人々を高揚させているのに過ぎない……所がそのような場所で無いと冷めてしまうか焦る」
「ハァ?」
「つまり、全ての作戦はヒトラーが指示している事で国民は高揚し軍は功を焦る……特に海軍がその傾向が強いのは大戦の前半はほぼ海軍は出番が無かった……しかし日本に宣戦布告した事で海軍にとっては見返すチャンスになっている」
「ダカラあんなにUボートが集まって来たのですね」
葵川としては後数隻あればよかったのだが瑞穂と日進の二隻合わせて十隻も拿捕すると言う状態には双方の艦長も辟易したのである。

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